世界一わかりやすい経済活動の話(その6)です。(その5)で、狭い意味でのビジネスがもっともっと生まれるといいですねとまとめようとするミライに、それを阻むものがあると話始めるフツクロウ。

ミライ:  前回最後の言葉、「狭い意味でのビジネスを拒むもの」とはどういうことでしょう。


フツクロウ: たとえば、正月早々に報道されたこの記事を見てみよう。


 パナソニック、国内生産回帰…円安・人件費高で : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 


 パナソニックは、海外で生産し日本に逆輸入している洗濯機やエアコンなどの家電製品の大半を、今春から順次、国内生産に切り替える方針を明らかにした。

 円安の進行や海外の人件費の上昇で海外生産の利点が小さくなったためだ。

ミライ: 円安で工場が日本に戻ってきた!って話ですね。


フツクロウ: ホウじゃ。どう思うかの。


ミライ: 工場戻ってきて、雇用も増えるから良かったですね?


フツクロウ: ホウかの。今ドルは 120円くらいなんじゃが、実は8年前の2007年ごろも120円くらい。そのあと5年後の2012年ごろ80円を切り、その3年後2015年の今はまた120円じゃ。


ミライ: め、めまぐるしいですね。


フツクロウ: まさに。では、今から3年後は何円じゃろう。


ミライ: さ、さあ。


フツクロウ: 今から3年後にパナソニックの国内生産はどうなっているじゃろう。


ミライ: さ、さあ……。


フツクロウ: そんなところで働きたいかの?


ミライ: ……。びみょうですね。


フツクロウ: ホウじゃ。仮に働くとしても、3年後にはまた解雇される可能性に備えておかねばならない。とすると、消費するかの?


ミライ: いや、なるべく貯金しないと怖いですね。


フツクロウ: ホの通りじゃ。グローバル企業の製品は激しい価格競争で給料も切り詰められておる上に、為替などの都合で雇用ができたり消えたりする。そこで働く人は工場の一部品であって、自分たちの「他の人から見たらなんでそんなもんに出すん?」というモノにじっくりお金をかける余裕はない。つまり景気には関係のない、物々交換の世界と変わらない消費になるじゃろう。


ミライ: モダンタイムスの呪い……。


フツクロウ: ホ?


ミライ: いや、なんかそういう話聞くたび、1936年の映画、モダンタイムスを思い出して、もう80年になろうかというのに、いまだにそれに近い話があるんだなあと思うと、あの映画の呪いなんじゃないかと思えるんです……。


フツクロウ: なるホどのう。「狭い意味でのビジネスを拒むもの」を説明するために持ち出した例じゃが、「狭い意味でのビジネスを拒むもの」とはまさにその「モダンタイムスの呪い」かもしれんの。


ミライ: え、そうなんですか? あ、モダンタイムス、ニコニコ動画にある。