親が作ったものはバレバレだそうです…現役教師が語る「こんな自由研究がGOOD!」
この記事に刺激されました。そこで現役教師ではなく、博士(工学)の立ち場として人生を見越した「こんな自由研究がGOOD」を紹介します。数年もかかるひどく面倒なやり方なのですが。
なお、「博士(工学)」というのは正式な肩書きで、肩書きにかっこが入るとかめちゃくちゃ違和感ありますが、工学の分野で博士号をとったという意味です。
閑話休題。
子供はもともとクリエイティブですが、自由研究はそのクリエイティビティを形として残すのにとてもいいきっかけだと思います。
紹介した現役教師さんの記事にはいろんな反応がありました。たとえば「自由研究はもはや本来の意味を失っているのではないか」というコメントを見ました。でも、子供が自律的に創造力を結果に変える練習には今でももってこいです。
また「親に丸投げってどうよ」というコメントも見ました。いいのか悪いのか確かに丸投げです。はっきりいって、親が試されています。多分自由研究など夏休みの宿題は親の様子を知る情報がぎっしり詰まっていることでしょう。
まあ、超進学校の子の親はともかく、私たちが先生にどう思われるとかあまり気にしてもしかたないので、目の前の子供が自由研究を通して学ぶべきことに集中した方がいいと思います。
それも今年の成績のためでなく、将来のために。
自由研究で身につけるべきこと
将来のために自由研究で身につけておきたいこと。それはずばり、自律的に研究ができることです。日常の疑問をきっかけにその答えを自分でみつけること。それは理系だけに必要な力ではありません。将来何らかの仕事につき、問題解決をする上でとても重要な力です。
自律的に研究ができるようになるため、うちでは次のような段階で進めています。何年もかけて進めています。もちろん子供によってはあっという間に進むのでしょうが、そうでないなら焦らずに。
1 . 1年目は、惜しまずアドバイスする
うちの長男の場合は小3のとき、ちょっと気合い入れて自由研究に取り組みました。「摩擦を調べたい」と自分から言い出したからです。その前は忘れましたが、こちらから何か提案して何かやったんだと思います。親と一緒に楽しく実験。そのステップも0番目として大切かもしれません。
小3の研究では、親が直接手を出すことはしませんでしたが、じゃあこんな実験がいいのではないかとか、その実験の後、結果をグラフにするやり方とか何でもアドバイスしてあげました。その結果を見て次の疑問を持てば、またそれを調べる実験をアドバイスし、実行しまとめる、そんな感じで進みました。
つまり疑問は本人から自発的に生まれたものですが、研究そのものはほとんど大人のアドバイス通りに進みました。
おかげで(?)内容的には、手堅くまとまり、なんだかの科学賞で佳作かなんかになりました。家族で展示を見に行き、他の研究もいろいろ見ました。研究なんか楽しいという感覚を覚えてくれたのではないでしょうか。
2.2年目は1ページ実験に集中する
残念ながら、去年の自由研究の後、長男は自律的に研究するようにまではなりませんでした。うちの長男はステップ1では足りなかったようです。
でも、他にも選択肢がある中、今年も自由研究をすることは決めていたようです。去年の研究や展示で刺激になったことがあったのだと思います。
そして、次のステップが、自律的に研究ができるようになるための最大の壁です。
それは、1ページにしかならないような小さな実験でいいので、自分で実験を計画し、実行し、まとめることです。
親はなるべくアドバイスを控えます。どうしても困っていたら助け舟を出しますが、それも直接答えるのではなく誘導するような形がよいでしょう。またあまり大きな実験では手に余りますから、そうならないように軌道修正は必要です。
今回、長男は、家にあるデジタル顕微鏡で観察がしたいと思っていたようです。テレビにつなぐタイプです。そこで、畳などその辺のものをいろいろ観察しました。家族もあれ見てみて、これ見てみてとリクエストしました。テレビに映る拡大画像を古い iPhone で撮影して、ノーパソに取り込みプリンタに出すという、本人が自分でできる方法で結果を出力しました。
この段階でこの実験だけでまとめました。まとめるにあたって、実験の方法、結果など書く項目は、学校の手引きに書いてあるのですが、どう書いていいかはまだよく分からないようで、書くべき内容はヒントを出しました。
でも、デジタル顕微鏡で観察しiPhoneで撮影してノーパソに取り込み印刷という実験系を説明するところはびっくりするくらい見やすい図とともに流暢に解説していました。他の部分に比べて量的に圧倒しバランスは悪いのですが、本人も頑張ったところなんでしょう。結局1ページではなく数ページにはなったようです。
観察した中で傘が印象的だったようです。布と同じように織られた生地だったからです。布は水を通すのに、なぜ傘の布は水を通さないのか? という疑問が生まれました。どうするんだろうと思ってみていたら、傘の生地の下に懐中電灯を入れ、反対からデジタル顕微鏡を使わず直接 iPhone で撮影し、「隙間がまったくない」と結論づけていました。
水を通さないことを調べるのに、ちょっと明後日の方向なんですが、逆に私にはなかなか思いつかないアプローチでとても興味深いです。この観察も単独でまとめました。
そして、この二つの実験でいいというので、全体をまとめました。実験は二つしかないので、まとめるといってもほぼ体裁を整えるだけです。量は少ないのですが、他の宿題があるのでこれでいいそうです。
ということで、量的にもかなり少なく、内容も結果もぱっとしないものができましたが、自律的にやったという点では大きく進歩できました。賞は望むべくもありませんが、大きな一歩を踏み出したのではないかと思います。
3.今後のステップ
今後ですが、
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