明日、いよいよ将棋の電王戦です。一昨日衝撃的な発表がありました。

 デンソー、「将棋電王戦」に1mmの誤差もなく指すロボットアームを提供 - PC Watch

 明日から始まるプロ棋士対コンビュータの電王戦。前回の電王戦ではコンピュータの手は「三浦君」というヒューマンが指していましたが、なんと今回は日本が誇る世界一の自動車部品サプライヤーであるデンソーのロボットが指すというのです。

 ほうと思ってチェスで調べてみたら、いろいろあるみたいです。たとえばこれ。

 Exciting Chess2 - ROBOT Vs HUMAN(GM Grischuk):  YouTube

 ということで、世界的には目新しさはないのかもしれませんが、それでも、それは絵になって、世界中を駆け巡るんじゃないでしょうか。

 それにしても明日楽しみですね。出張なのでどこかで一瞬見られるかどうか。

 それにしてもどんな雰囲気になるのでしょうか。その記事の動画でも紹介されていますが、最初コンピュータと戦うことになった米長邦雄永世棋聖は、誰に代打させるかにすげーこだわってます。われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る の中にもその米長節がずいぶん丁寧に書かれています。

 どんな雰囲気かと言われれば、すでにチェスでの動画を見ればある程度分かりますが、とはいえ、やはり将棋は将棋でまた違った感じになりそうです。プロ棋士がどんな表情で対戦するのか。

 可能性としては、表情が豊かになるかもしれませんね。相手が人間だと表情や仕草も勝負に影響しますけど、相手がロボットならまったく気にする必要はありません。もちろんそれは今までの電王戦もそうですけど、向かいにロボットか人間かではまったく心理が変わりそうです。

 ちなみに、子ども達に見せたら速攻「うるさい」と。……確かに。静かな機械は後どれくらいで実現するのでしょうか。

 手によっては指すのに少し時間がかかるので、人間は少し考える時間が増えますね。ロボットが動き始めたら、その時点でプロの方はなんの手か分かる訳で。

 人間が指した手はロボットが自分で見て判断するのか、今回は人間が入力してやるのかどっちなんでしょうね。上のチェスの動画では、チェスの盤や駒に細工がしてあって読み取れるようですが、明日はどうなるのでしょう。楽しみです。

 電王戦では今まで人間とコンピュータの共創として行われていましたが、これからは、人間、コンピュータ、ロボット三者による共創になるんですね。

 これにはとても興味深い問題を見つけられます。未来のロボットはどんな「意識体」として捉えられるようになるかという問題です。話し相手になってくれる人間を真似たロボットでもなく、ペットとしてのロボットでもなく、社会で新たな役割を担うロボットとしての意識体です。

 例えば、お互いどうやって投了するんでしょうか。ロボットの方はどうするんでしょうか。後ろのオペレータが「あ、コンピュータ投了しました」って言うのはあまりに味気ないです。と視聴者が感じる時点で、人間はロボットに対してなにかしらの意識体としての振る舞いを期待していることになります。なんか諦めのモーションとかしてくれるでしょうか。

 今の時点でもコンピュータに対して、人間から見るとなにかの意識を持っているように感じるかもしれません。今の時点でも、さっさと指したり長考したりするところは、ある種のバカ正直な表情があります。私たちはそのコンビュータの生々しい性格を存分に楽しんでいます。

 一方、もし人間の方が仮に投了になったらどうでしょう。今回は恐らく立会人とか、人間に向かってするのではないかと思います。まだロボットにそこまで意識があるような感じではなさそうだと思うからです。

 でも、たとえばロボットがすごい手を指した時に、棋士は思わずロボットの顔があるべき場所を見やってしまうかもしれません。その場合、それくらいにはロボットを意識体として認識しているのです。

 このように棋士のささいな仕草を観察することで、棋士がどの程度ロボットを「人間ではないけど、なにかの意識体」として捉えているか見いだすことができるのです。