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発想もめきめき20代からの右脳バランス
〜さそねっとブロマガ「未来の普通」右脳バランス総集編〜
はじめに
これは、ブロマガ「未来の普通」2013年10月末から年末まで断続的に掲載された「右脳シリーズ」を集めた、題して「発想もめきめき20代からの右脳バランス」です。
このシリーズは感動的なプレゼンの宝庫TEDの中でも人気の一つ、
ジル・ボルト・テイラーのパワフルな洞察の発作
という動画に刺激されて始まりました。プレゼンターで脳科学者のジル・ボルト・テイラーさんは脳卒中で一時的に左脳が麻痺しましたが、そのご奇跡の復帰を遂げ、さらにはその間のことを克明に私たちに伝えることができたのです。
ジル・ボルト・テイラーさんは左脳に障害を持っている間言葉を失っていました。言葉でコミュニケーションしたり考えることができなくなっていたのです。それでもそれ以外の機能は維持していて、たとえば相手がどんな表情をしているのかといったことは問題なく理解できていたのです。
人間の脳は大きく分けて二種類の方法で情報を処理します。一つは左脳が得意な「逐次処理」で、ものごとを順番にこなしていく方法です。この方法は言葉で書き表すことができます。12×34という筆算をする時には、まず2×4をして、その答えと10×4の答えを足したものを線の下に書き、同じように12×3を計算したものを1けたずらして先の数字の下に書き、その両者を足しあわせると最後の答えが出るという感じです。言葉で説明できるので、学校などでの教育内容に向いていて、現在学習内容の大半は、この「逐次処理」で行うものが対象です。
また、順番に考えるので、過去ー現在ー未来のつながりを考えることができて、したがって「将来いい仕事につくために、今は遊ぶのを我慢して勉強をしよう」と計画を立てることができます。
一方、右脳は「並列処理」を得意とします。例えばこの絵で「赤い丸はどこにありますか?」と聞かれたら、 ヒトは一瞬で見つけることができます。丸の数が増えてもその速さはほとんど変わりません。ひとつひとつ丸を注視して赤か白かを見分けているわけではありません。左脳的な「逐次処理」ではない処理の仕方です。
あるいは会話をしているときに、相手がどんな感情なのかということも五感全てを使って、並列処理して感じ取っています。いちいち、「さっき言った言葉からはどう考えられるか」「次に表情はどうか」「体はどうか。揺すったりしてそわそわしてないか」「腕・手・指はどうなっていてそこからどう考えられるか」と順に考えたりしません。順に考えたら余計に間違えそうです。ものすごくそわそわしてもう会話を切り上げたそうなのが明らかな時に「まず言った言葉からどう考えられるか」なんて手順を踏む訳がありません。
しかし、この並列処理の方は、うまく言葉で過程を説明することができません。白い丸の中からどうやって赤い丸を見つけているのか説明しようと思っても「ここにあるものは、ここにある」としか言いようがありません。
もう一つ例を考えましょう。もし歯に何かものが挟まっていたら、「あー、歯にもの挟まってて気持ち悪い」と感じます。逆に特に大きなものが挟まっていないとき、挟まっていないことをどうやって感じているでしょう。別に左奥の上の歯の間から順番に右に向かって「挟まってないな」という感触を感じなくても、「うーん、今別に大丈夫」と一瞬で判断できます。これもどうして一瞬でわかるのか説明せよと言われていも、上手く説明できません。
こんな風に脳みそは、その過程を言葉にすることは難しいけれどうまく処理していることがたくさんあります。恐らく左脳的な逐次処理で考えることと同じくらいには、右脳的な並列処理でも考えています。
しかし、それは言葉にならないため、ほとんど意識されていなかったのではないでしょうか。ここのところは科学が大きく発達したこともあり、「言葉で説明できないものなどない」という価値観が受け入れられているように思います。しかし、このように実は頭の中は「言葉で説明できない処理」だらけだったのです。
念のため補足すると、赤丸を選ぶ仕組みも、脳科学的に言葉できちんと説明することはできているかもしれません。しかし、ポイントはそのように説明されていようといまいと、あるいはその仕組みがどんなものか知らなくても、私たちはその仕組みを利用できるし、しているということです。
このように、言葉ではうまく説明できないけれど、左脳と同じくらい膨大な処理を行っている右脳について、けれど、普段私たちはあまり意識していません。私自身もそうでした。
しかし2ヶ月以上前、ジル・ボルト・テイラーさんの動画を見て、右脳について考えたことを1日分の記事として書いたところ、後から後から右脳的な並列処理の世界が関わっているさまざまなことが気になり出し、1つ、2つと記事は増えていきました。
結果、二ヶ月とちょっとに渡って全部で33記事になりました。つまり、言葉を変えれば行き当たりばったりに書き綴られたものですが、大まかには以下のような構成になっています。
パート I /一時的に左脳を失った科学者の話が悩ましい
全てのきっかけになった記事です。一時的に左脳が麻痺していたジル・ボルト・テイラーさんの体験は神秘的でいわゆる「神を見た」という体験そっくりです。つまりこれらの体験の元は実は誰の中にでもあるけど、普段は言葉で考える左脳の影響が大きすぎて、特殊な状況でのみ見られるもののようです。神秘的体験の元である右脳が持つイメージについて考え始めた最初の記事です。
パート II /右脳バランス
次の二つの記事は、右脳的に生きるか左脳的に生きるかという二者択一な過ごし方ではなく、両者のバランスが取れた状態を考えて、そのようにバランスを取るにはどうすればいいか、またバランスを取ることが自分自身が豊かに暮らせることにつながる(雲を見上げるだけでも楽しくなる)だけでなく、ジル・ボルト・テイラーさんも提唱する世界がより平和になるのではないかという点について考えています。もともとここで終わるつもりだったのですが、あと30個も増えることになるとは。
バートIII /右脳を左脳で理解する試み
次は、8回に渡って、ときおり単独のコラムも交えながら、「右脳を左脳で理解する試み」という記事です。ジル・ボルト・テイラーさんの語る右脳の持つイメージが、自然界に生きる動物の価値観に似ているのではないかという点や、座禅など瞑想の極限で得られるイメージにも似ていることが分かったことから、右脳の持つイメージについて、左脳的な「言葉」でいろいろとその姿を捉えようとしています。子供は大人より右脳バランスが良く思えることについても考えています。また、右脳のイメージが特殊な状況でしか得られない理由も考えています。
パートIV /迫り来る「右脳革命」に20代が備える方法
そして最後のパートは、全14回に渡って、やはりときおりコラムも交えながら、迫り来る「右脳革命」に20代が備える方法という記事です。
今まで神秘的な体験として言わば得体のしれなかった右脳のイメージは、既にその存在はゆるぎないものになってきました。脳波も手軽に測定できるようになってきていて(実機での測定もでてきます)、今後は右脳や左脳が働く様子を客観的に測定できるようになるでしょう。
となると社会は今まで中心的だった左脳的な思考法だけでなく、右脳的な思考法も意識するようになります。左脳的思考能力の開発は現状飽和状態で、大学入試・就職面接なども技術的対策をこなした人程有利な状況ですから、今後当面は右脳的思考力を伸ばすことが社会の中でも大きな意味を持つことでしょう。
よく考えれば、言葉で考えているのは左脳だけです。脳には右脳だけでなく脳幹や海馬といったところもありますし、その他体全体(たとえば胃腸)なども言葉を持つ訳ではありません。しかし、それらすべて言葉がなくとも気まぐれではなく一貫した機能を持って、日々生きています。それらの機能を言葉で説明しなくても、問題なく生きていけます。そもそも動物はほとんど言葉を持ちません。つまりまず自分たちの体はその大部分が「言葉で説明できなくても動いている」のです。
世の中も同じです。自然も社会も「言葉での説明があろうがなかろうが」動いているものだらけです。もしかしたら、なんでもかんでも言葉で説明できるのかもしれませんが、説明など知らなくても利用したり関わっているものが大半です。「世の中説明してないものだらけ」なのです。
それらのものとつき合う、あるいは理解しようするのに、無理に言葉で理解しようとせず、言葉は持たないけれど並列処理である右脳的思考の方がうまくいくこともたくさんあるはずです。つまり、「右脳革命」の第一段階は、「世の中に言葉で説明できないものはないはず」などとつっぱらずに、「とりあえず世の中説明できてないものだらけ」ことを受け入れること、そして第二段階はそのうちの一部とは、無理に言葉で理解しようとしないで、右脳的思考で対応していこうという方向性を持つことです。
しかし、右脳的思考力を伸ばすのには発想の転換が必要です。
この厳しい競争社会を生き延びるために、右脳的思考力を伸ばそうと思うなら、それはすでに左脳的発想です。右脳は競争社会なんて好きじゃないし、「共創」社会を望んでいるし、つまり右脳的思考力が伸びたら、その分より多くの人が豊かに幸せになることを望んでいます。そんな右脳と仲良くなるには、今までの常識的な切り口はかえって邪魔になります。
では迫る「右脳革命」にどのように備えればいいのか、現時点で考えられる点についてこのパートでは記事にしました。特に、右脳的な思考を目指すことで、目下現実的に目に見えそうな成果は発想が豊かになることです。その発想法について詳しく考えています。
これらの記事を通して、今まであまり意識してこなかったけれど、自分の体や脳の中に、とても豊かな右脳の世界が広がっていることを感じられると思います。たとえば、空を見上げ雲を眺めているとき、言葉としては漠然と「きれいだなあ」しか浮かばなくても、それは脳みそがさぼっているわけではなくて、全身で空や雲を楽しんでいると分かります。人によっては、何を今さら、それが当たり前と思うかもしれません。まさに「考えるな、感じろ」という奴ですし。その世界は、自然を堪能するためだけでなく、発想力など様々なことに関わっているのです。
その世界があると確信さえできれば、その世界と慣れ親しんで行くのは時間の問題です。既に右脳的思考力は手に入れたも同然です。発想力もどんどん豊かになることでしょう。
それでは、連載を通して、右脳の世界に気付いてから、徐々にその様子が見えてくる過程をぜひお楽しみください。
一時的に左脳を失った科学者の話が悩ましい
TED プレゼンの中でも有名な、一時的に左脳を失った脳科学者の話があるじゃないですか。【感動必見】脳機能を失い、死に向かった脳科学者が見た「僕らの生命の秘密」「人生の意味」に魂が打ち震えるほどの衝撃が
実は、気になっていたけど、このテキストを初めて読んだのはほんの1ヶ月前くらいで、映像を見たのはつい先週のことなのです。
やっぱ映像のが全然迫力ありますね。映画のクライマックスみたいです。
でテキスト読んだ時もそれなりに感動したんですが、映像みたらなんというかいろいろ考えさせられました。
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