24時間残念営業の「うちら」の世界が大反響ですね。
ローソンアイス冷凍庫事件から始まった、同じことが繰り返される今回の騒動。それについて、満を持して24時間残念営業のコンビニ店長さんがブログを書かれました。そこに書かれている「うちら」、つまり「低学歴の世界」の話には、いちいちすごく納得させられました。
で、便乗というか、次のお話、
この世には「低学歴の世界」というものがある。ネットからは非常に可視化されにくい場所だ。の中の、「ネットからは可視化」しにくい部分、という点がとても印象的でした。
実はネットというのはとても狭い世界で、ネットの世界だと有名なことでも、リアル社会では全然そんなことないと感じています。例えば以前乙武さんがあるレストランに入れなかったという騒動がありました。ネットでは大騒ぎになりましたが、私のリアルな交友範囲だと、知っている人は多分1割にも満たないだろうというのが私の感覚です。
個人ではネットの全ての領域に触れられるわけではないというのも、その人にとってのネットの世界を狭めます。古いですが、「前略プロフィール」の世界は、私にとっては別世界でしたし、逆に「前略プロフィール」の世界の人は、ほとんど乙武さんの騒動を知らないなんてこともありえます。
ネットからは、本当に多様なたくさんの情報が得られるのですが、そこからは見えない世界がたくさんあります。
例えば、「うちら」の世界のコメントに、
社会的地位が高くても内輪で完結してて外部の人間の存在が想像できない奴なんてごまんといるしオタクもヤンキーも変わらないし日本人はヤンキー大好きだしとなる筋道がすーっと見えたのではてな村の外に出かけてくるというのがありましたが、これついこの間、病院で番号で呼ばれて激怒し支払い拒否したことが問題になり、結果亡くなってしまった議員さんがいました。多分その話を地元の普段の講演会でしている分には、それほど問題になるどころか武勇伝にすらなったのではないかと思います。「社会的地位が高くても内輪で完結してて外部の人間の存在が想像できない」典型だったのではないかと思います。
地方の生活もなかなか可視化されていないように思います。なので、「地方都市の魅力に迫ろう」なんてシリーズをやっていたりします。
高齢者の世界もあまり可視化されていないでしょう。未成年の世界もそうです。
といいつつ、それは私から見ただけであって、未成年も高齢者も自分たちのネットコミュニティを持っていることでしょう。ネットにはあるけど、それぞれの立ち場から見えにくい場所というのもありそうです。
いずれにせよ、「『うちら』の世界」では、ネットから可視化しにくい「低学歴の世界」がクローズアップされていましたが、この社会は、ネットは「高学歴の世界」でそれ以外は「低学歴の世界」ということではありません。
たとえば、「『うちら』の世界」を誰が読んだかという点でもそうでしょう。高学歴の都市に住む20,30代くらいに絞れば半数はいいすぎでも、相当たくさんの人が読んでいることでしょう。
でもそれ以外ではほとんど読まれていなくって、全体から見ればどんなに多くてもせいぜい数%というところではないでしょうか。
ネットという世界は本当に多様で情報がたくさんあるので、日本の隅々が見えているような気になってしまうのですが、実際には、自分が触れているネットの世界は日本の1割位で、それと同じくらいの世界が日本にあと9個くらいあると思うのです。今回、際立って目立った形で、「うちら」の世界が見えたわけですが、世の中ネットの世界と「うちら」の世界の二つではないのです。
そんな中
残念なのは「高学歴の世界」の住人にしか使えないインターネットだ - きっと今夜はパラディナイト!
という興味深い問題提起がなされました。その後いろいろ進展があったようで、「間違ってました。インターネットも別に残念じゃないです。素晴らしいです。書きました。」というエントリも続いています。
私も別に残念じゃないと思います。なぜなら、10個くらいはある世界が、それぞれ、それぞれが使いやすいように何らかの形でネットを使っているからです。互いに余り見えないだけで。おそらく通信量とかそういうのでいえば、ここで言ってた「ネット」に比べたら、微々たる量かも知れないけれど、それぞれの使い方があることでしょう。
だから、すでに概ねうまくいっているのです。で、こういう悲惨な事故が起きないようこれからどんどん技術が発達することでしょう。「間違ってました。インターネットも別に残念じゃないです。〜」でもいろいろ可能性が書いてあります。
私も一つ思いつきますが、これからは、簡単に自分たちだけのSNSを作れます。自分たちでアプリ一つ立ち上げるのです。「ΣΩΠ」とかアメリカの学生秘密結社みたいな名前の、会員だけが通信できるSNSアプリを作るのです。今でもちょっと腕に覚えがあれば簡単にできます。で、そのアプリをダウンロードしたり使うには、ある儀式を経る必要があってとか、厳しい掟があったりとか、技術的にもテキストや絵がコピーできないとか。中2病全開すれば、すごいことになりそうです。
最初は腕に覚えがない人しかできないけど、そのうちひな形できて誰でもできるようになったり。
ネットは変化の激しい世界ですから、まだまだいろいろ騒動は起きるでしょうが、どんな事情の人や共同体にも使いやすいものに、どんどんなっていくと思います。
逆にいうと、ここで「高学歴の世界」と表現されたのは、単にネットに慣れてるだけという風にも見えます。ネットリテラシーがあるという言い方もあるかもしれませんが、
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