もうブームはとうに去ったかと思っていたのですが、最近また「グローバル化」とか「グローバル人材」とか毎日のように話題になっています。日本人はみんな「グローバル人材」を目指すべきだと。
でも多くの人にとって、そんな話は「ふ〜ん。大事なのは分かるけど……」と他人事ではないでしょうか。なにしろ「グローバル人材」といえば何はともあれ英語の話になります。しかし、ほとんど全ての日本人にとって英語は普段なくてもやっていけます。たとえば日本の輸出依存度や輸入依存度は10%と20%の間です。日本人の軽く80%以上は普段英語を使わなくても仕事ができているでしょう。だから、多くの人にとって、英語、英語と言われるグローバル人材の話は、直接関係ない話に聞こえます。私は6年半アメリカに住んでましたけど、日本に帰って来てもはや10年近く、英語で会話した量はアメリカ1ヶ月分もありません。
しかし、グローバル人材に求められる能力を見ていくと、実はごく一部の人の話ではないことがわかります。
この記事は大変参考になります。
特集ワイド:「グローバル人材=英語力」なのか 「押しの強い人」は誤解 養成コスト削減が企業の本音
この中で、「グローバル人材」として重要視される能力として次のように書かれています。
厚生労働省の調査によると、企業と従業員では「グローバル人材」のイメージに違いがある。従業員が最も自信がないスキルとして「言語」を真っ先に挙げているのに比べ、企業側は「海外の事業所で自立的・自主的に発言・行動できる」「多様な考えを持つ人と共同・調整して仕事を進められる」を重視している。ここで企業が挙げている二つの能力は、今英語に関係ない人にも求められている能力です。
・自立的・自主的に発言・行動できる
「海外の事業所で」は省きました。
今社会は大きく変化しているため、社会の中に無数に解決しなければならない問題が発生しています。その数はあまりに多く、国や自治体や大企業だけではとても解決できません。ほとんど個人レベルでそれぞれが小さくてもいいので身近な問題を解決していくくらいでやっと間に合うでしょう。そのためにそれぞれが自律的に発言・行動できることは本質的に重要なことです。海外もへったくれもありません。
・多様な考えを持つ人と共同・調整して仕事を進められる
この力、言わば「共創力」も、日本の社会の中でも必要な能力です。イノベーションを起こす最大の近道は、多様な人材が交わることです。(参考:メディチ・インパクト)
一見、海外で活躍するにはより強い「共創力」が必要な感じがしますが、全くそんなことはありません。外国人と共同・調整して仕事を進めている場合、その外国人は大抵の場合、海外の人とやり取りする能力の高い人です。
一方、例え国内でも、田舎の最初は言葉も通じないような高齢者とコラボしたり、盲目など様々な障害を持つ人とのコラボできるのであれば、極めて高い「共創力」を持っていることになります。「共創力」があればある程、世界に出て行かなくても尖ったコラボができます。もちろんそのコラボ先が海外であればそれはそれで尖った成果を出せますが、コラボ先は海外でなくたって、いくらでもすごいコラボができます。
グローバルであるかないかなんて、針の穴程小さい話なのです。
ですが、グローバル人材として求められている「自律性」と「共創力」は今の我々全てに求められるものです。海外のグローバル人材とのコラボというごく特殊なものを目指すグローバル人材でなく、あらゆる人とコラボできるユニバーサル人材を目指しましょう。
そのためのプログラムとかまだきちんとあるわけではありませんが、もし、グローバル人材としての育成プログラムが「自律性」と「共創力」を鍛えるものであれば、大いに利用しましょう。
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