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梅原大吾『勝ち続ける意志力』を貫くヒトへのリスペクト

2012/12/13 07:00 投稿

コメント:11

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  • イノベーションの源泉
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 ゆるオタ残念教養講座の海燕さんが、梅原大吾『勝ち続ける意志力』を絶賛されていて刺激されました。海燕さんの記事とてもお薦めです! 少しネタバレしてごめんなさい。

 この本には私もすごく感動しました。

私はウメハラさんとは全然違った

 読み進むにつれ、私はウメハラさんとはある点で全然違うと、愕然とさせられました。ウメハラさんは、勝負の世界に生きていますが、勝負はあくまで相手あっての話。ですから、どこまでも人間をリスペクトしています。

 え、おまえ違うの? と思うかもしれませんが、すこし自信がありません。私は理系で、つまり自然科学の分野にいました。すると、実験とかして結果を出すわけで、実験しているときは自然法則が相手です。その瞬間はヒトとの勝負ではなく、自然法則から結果を引き出します。自然法則は決まっていますから安心してぶつかることができます。その結果の評価はヒトによってなされますが、それは第二ステップ以降の話です。

貫かれる人間への尊厳

 でもゲームみたいな勝負だと、相手は人間ですから、常に変化しています。調子いいかもしれないし、悪いかもしれないし、なにより卑怯な手を使ってくるかもしれません。そういう対象を信頼し戦い続けるというのは、私にとってはとても怖いことです。趣味でなら楽しいですが。しかし、どんなに強くても勝負は相手がいないと結果が出せません。ですから相手は敵ではあるけど、共に同じゲームをする仲間でもあって、その仲間が必ず必要です。

 ウメハラさんはそれを知り抜いています。本を通して語られる勝ち続ける意志の背景には、ゆるぎない人間への尊厳、相手へのリスペクトが貫かれています。恐らくゲーマーの中でも群を抜いています。その圧倒的な力に、ただただ感動しました。

その力は勝負以外にも生かされる

 その力はゲームから離れて介護の職に付いている時にも発揮されていました。

 ウメハラさんのような方は、きっと勝負以外の世界でも、特に社会的な事業で大活躍できるのではないか、そう思いました。いえ、大活躍してほしいと思いました。

 たとえば、商品が技術に走りすぎて消費者に受け入れられないなんてことがありますが、技術者は技術と徹底的に向き合ってはきたけど、同じやりかたでは変化する人間と徹底的に向き合うことはできません。 ヒトと徹底的に向き合うというのは、極めて困難なことです。それができなくて、技術に逃げてしまうのです。ウメハラさんのような方はそこに飛び抜けているのです。

 ただ、ウメハラさん自身がまたゲームの世界に戻ったように、勝負に徹するという厳しさも持っているのなら、それも生かせなければふさわしい舞台ではありません。どんなに人をリスペクトする能力が役立つ活動でも、ほんとに役に立っているかいないか良く分からないような社会活動では、本当の意味で活躍できません。

 ですから、ヒト相手でしっかり結果が目に見えるもの、そういうところで活躍できるのではないかと思ったのですが、それって、つまりビジネスじゃないかと。しっかりとした企業理念があって、社会貢献の度合いと売上がリンクするようにした上で、思う存分売上を追いかける、そうしたらウメハラさんはいったいどこまでかけあがるだろう、どんなに社会を変えられるだろう、そんな風に思いました。

 ゲームに限らず、スポーツや囲碁・将棋など、ヒトとの勝負に徹する分野はいろいろあります。若い時にそういう世界に真剣に取り組んだ人は、きっと事業に向いているのではないでしょうか。そういう分野に進もうとすると親は「そんなんプロになれへんかったらどうすんの、くってけへんよ」と心配するかもしれませんが、その競技の技術以外に社会を変えるような事業を興せる能力も身につけているのかもしれません。スポーツやゲームを目指してもし諦めなければならないなら、ぜひぜひその能力を生かして他の分野で活躍してほしいです。

 自分はスポーツのような世界に進もうと思ったことは一瞬もなく、まったく分からない世界なので、仮に子どもたちがそういうことを目指そうとしたら、とても不安になることと思います。でも、『勝ち続ける意志力』を読んで、そうかその道でプロになれなくても、なんとかなるのかもしれないなと少しだけ安心しました。ま、そんな道を目指すかはまったく分かりませんが、読めて本当に良かったです。

勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」

・併せてどうぞ
ゲーマーが難問のタンパク質構造を解いた

(最初「レスペクト」って書いてました。コメントで指摘してくださってありがとうございました)

コメント

一応言っておくとウメハラ自身は自著でも戻ってきてからは
勝ちにそれほど執着しなくなったって書いてるしそんなにバッシングしても
仕方ないんじゃないかなと思います
あとプロ騙るも何も、スポンサーが付いてるからプロとしてやってるわけであって
別にスポンサーはウメハラ自身がつけてくださいって懇願してやったわけではないんだから
騙るというというのはかなり語弊があるんじゃないでしょうか

立ち読みでもいいから著書をお読みになってはいかがでしょうか、少しは見方が変わるでしょう

No.13 138ヶ月前

あれだけの成績出してるのに叩かれるのがウメハラなんだよなぁ…

No.14 138ヶ月前

優勝しない限り叩かれる。
これがウメハラ

No.15 138ヶ月前
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