食事の場所とか、マスメディアの情報を頼りにするとどうしても長い列で待たされることになります。一度食べログなど口コミサイトができたときは緩和するのかと思いましたが、結局口コミサイトも有名どころがいくつか定着することで、そこの評判が支配的になり、やっぱり評判の良いところは混雑してしまいます。ステルスマーケティングの問題もあります。
このいたちごっこにようやく打開点が出てきたのではないでしょうか。Facebookとかツイッターで知り合いのおいしかった情報は良くありますし、中には「おーこれ行ってみたい、つか行く」と気持ちが高まることもあります。しかも、それは自分のつながりから得られた情報ですから、大行列店に集中することはありません。それでおいしければ「並ばなくてもおいしい店がある」という体験をしたことになりますから、だんだん「行列する」のが嫌になり、並ばなくてすむようにソーシャル・メディアを活用するなどどんどん工夫するようになるでしょう。
かくして、並ぶのが億劫になる人が増えれば、どんどん行列は減るかもしれません。お目当ての店に行って不幸にも並んでたら、スマホで「【急募】○○の近くでおいしい店!」と叫べばなんとかなります。今の状況を知ってる知り合いなら、それにふさわしい店を教えてくれることでしょう。
並ばないことが習慣になるとライフスタイルが変わります。都会の電車の混雑は、行列がたくさんできることと無関係ではありません。「いいものは並ばないと手に入らない」と「いい仕事には通勤地獄に耐えないと得られない」とは同じ考え方です。大行列はその大行列に耐えなければならないと思う人が並んでいるし、通勤ラッシュではそれに耐えなければならないと思う人がそれで通勤しています。
並ばないのにおいしい体験を繰り返すと、並ぶ店は、別に並ばない店と変わらないと思うようになります。並ぶ店にはもちろん素晴らしい店もありますが、並ぶようになったせいか、別に「普通?」あるいは「なんかひどくなった?」みたいな店もあります。並ばない店にもいい店はいくらでもありますから、結局並ぶことで変わりません。そうするとますます並ぶのが億劫になります。
並ぶのを避けるようになれば、通勤ラッシュも避けたいと思うようになるかもしれません。職住近接など根本的な対策をとったり、まずは時差出勤をするかもしれません。
毎日過酷な通勤ラッシュに揉まれることがなくなれば、ベビーカーや高齢者にも寛容的な気持ちになれますし、それは多様性や共生の力を育み、異分野を丸ごと受け入れて協力できて、イノベーションを起こします。
風が吹けば桶屋が儲かりますが、並ぶのを止めればイノベーションを起こせるかも!
・併せてどうぞ
【タバコの締め出しは東京を幸せにしたか~ベビーカーは締め出せるのか~】
ミライ: ここからは「ソーシャル・メディア」について六葉未来点(?)です。
でもこれって昔ながらの口コミに戻ったってことですか?
フツクロウ: そんなことはないじゃろ。昔の口コミは極親しい人ずてで記録もされないしリアルタイム性も低いから、人々の様々なニーズに応えられるものではなかっただろ。だからこそ、グルメぴあのような情報誌が大ヒットしたんじゃろ。
今は、ゆる〜くつながっている人のつぶやきなんかで、「そこ行ってみたい」とかが起こったり、必要な時に【急募】したら、ゆるくつながってる人が教えてくれたり、情報誌や口コミサイトに匹敵する量・質を発揮するようになった。
ミライ: ふむふむ。
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