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これまで、日本一のニートphaさんによる随所に日本の最先端の感覚が溢れる話題の書「ニートの歩き方 」に、社会の最新技術を見てきました。第6弾今回は最終回「凡庸社会」です。

「ニートの歩き方」p.120にこんな一節があります。
 僕は特定の個人の能力や熱意によって実現されるものよりも、凡庸な人間でもやる気のない人間でも、そのなかに入ればそこそこ面白くなれるような仕組みに興味がある。

 これが今日本が答えを必要としている問題です。このみらふつではそれを「持続型人間社会」への挑戦と言っています。

 私たち日本人は1億2700万人もいます。その多くがそこそこ暮らしていくためには、「凡庸な人間でもやる気のない人間でも、そのなかに入ればそこそこ面白くなれるような仕組み」を作らなければなりません。
 でもそのことをはっきりと言える人は恐らくほとんどいません。日本人ほとんど全員が勘違いをしています。みんなが幸せになるには、それぞれがもっと勉学に励み、コミュニケーション能力をあげ、あるいは英語ができるようにならなければならない、そんな風に勘違いしています。

 でも本当に日本人全員がそういう努力をして、もし、日本人のTOEICの平均点が1%上がったとしたら、わたしたちはどう幸せになるのでしょう。雇用が劇的に増えるでしょうか。給料がどんと上がるでしょうか。

 英語含む勉学、コミュニケーションなど、今努力すべきと言われているものの大半は、それこそ私の親の世代からみんな努力させられています。なにかブレークスルーがない限り、これらの伝統的な努力目標について、国民の能力が二倍・三倍になるような劇的な変化はありません。

 ですから、これら伝統的な努力目標について、日本全体でどんなに努力したところで、たいして社会は変わりません。最近「努力って報われないよね」とか「自分で努力と思っているうちはだめ」みたいな論調を良く見ますが、そんなことが問題なのではないのです。今行われている大半の努力はそもそも無駄になる努力をしているのです。

必要なのは仕組み

 必要なのは仕組みです。

 例えば、以前紹介したリーフラスという会社の取り組みがあります。
 学生の頃スポーツに打ち込んだアスリートを採用し、子どものためのスポーツ教室を開くというビジネスモデルです。スポーツに打ち込んでプロになれる人はほんの一握りです。それ以外の人の努力が無駄になるのはなんともったいないでしょう。リーフラスのような取り組みがあれば、きちんと努力をした人にそれを活かす道が生まれます。

 こういう仕組みを無数に作ることが今必要なのです。
 昔作られた多くの雇用はどんどん減っています。昔は、肉屋・魚屋・八百屋が必要だったのが、スーパーができたことで雇用はずいぶん効率化され、減ってしまいました。そのかわりに新しい雇用が必要なのに、生まれていないことが問題なのです。

 国や自治体に作れと言っても無駄です。リーフラスのように、そこにはイノベーションが必要です。国や自治体は側面支援はできるかもしれませんが、イノベーションは我々の誰かが起こさなければなりません。  

キーワードは「物から心」

 そのためのキーワードが「物から心」です。
 例えば今初音ミクをきっかけに、作詞作曲できる人はずいぶん増えています。先日も紹介したニコニコ動画の「クリエイター奨励プログラム」では、奨励金が約一年で1000万円を超える人も出ました。モノではないコンテンツで生活できる人が増えたのです。しかし、それはほんの一部です。それ以外の人は小遣い程度で終わってしまうのでしょうか。

 リーフラスのようにいろんな需要を起こせばいいのです。例えば、各家庭にそれぞれオリジナルの子守唄があったりしないでしょうか。うちはあります。それを元に伴奏やボーカロイドの歌や編曲をしたのを作って記念に残すというのはどうでしょう。動画も付けてもいいかもしれません。
 あるいは、子どもの誕生日には歌を贈るなんて風習を仕掛けてはどうでしょう。毎年一曲ずつ作詞作曲を頼んで作ってもらって贈る。仮に広まれば通年で需要が発生します。

 もちろんそれだけで食べていける人は、やはり少数ですが、小遣い程度に出来る人はそこそこ増えるかもしれません。こういうのがたくさんあれば、副業として活用できる機会も増えるでしょう。
 こんな風にきちんと努力すればなにか収入ができる仕組みを無数にイノベーションしていけばいいのです。

他にもいろんな仕組みが模索されている

 phaさんは、他にも「凡庸な人間でもやる気のない人間でも、そのなかに入ればそこそこ面白くなれるような仕組み」について提案あるいは実践されました。

 【「ニートの歩き方」に見る社会の最新技術】目次 - NAVER まとめ 

1ロングテール人間関係では、ゆる〜い関係を広げておくことで、困った時にカンパして!とお願いできる仕組み。

2若者自身による自殺防止自衛策では孤独になりすぎて自殺しないように、自分たちでできるセーフティーネットの張り方。

3寄附をすると楽しく暮らせるや、5ベーシックイイカモでは互いに寄附しあうことで支えあう仕組みを提案。寄附といっても実は、コンテンツに払っていて充分見返りがあるこも指摘しています。

4ギークハウスのゆるんチャイズでは開発したギークハウスという仕組みをゆる〜く広めていく方法。

 一家にひとりニートを置こうなんて提案まであります。全編が凡庸な人間でも普通に生きていける社会を探索しているのです。

 これが今努力すべきことです。今必要な努力は、「努力をすればそこそこ報われるようになる」仕組みを無数に作り出すことです。

 「凡庸な人間でも普通に生きていける社会」、「持続型人間社会」、言葉は決まっていませんが、そのことに気付き探索している人は確実に増えています。このみらふつでもどんどん取り上げていこうと思います!

 ずいぶんかかりましたが、これにて「ニートの歩き方 」の紹介はひとまず終わりです。ありがとうございました。

・併せてどうぞ。本文で紹介したエントリ。
 【「社会貢献しないと本業が成立しない」ビジネスモデルで急成長】 子どもスポーツ教室リーフラスの取り組み
 【*六*niconico奨励金が変形ロングテールで立てた大きな金字塔。】 ニコニコ動画「クリエイター奨励プログラム」


 【「ニートの歩き方」に見る社会の最新技術】目次 - NAVER まとめ 

ミライ: ここからは「凡庸社会」について六葉未来点(?)です。
 やっと完結ですね〜フツクロウさん。

フツクロウ: 良かった良かった。