「根拠の詳細を知らされていないため、特に対応していない」京大広報部によるこの回答に幻滅しました。
式辞に歌詞引用、著作権料を 京大HP掲載でJASRAC
今年の入学式での総長祝辞に歌詞が引用されていたので、JASRACから掲載料の手続きをしてほしいと依頼があったそうです。それは1週間くらい前のことだったそうですが、それに「特に対応していない」とのこと。
大学が生み出すものは知的財産です。モノやサービスなんて二次的なものです。中でも著作物がその大半を占めます。つまり大学は著作権がきちんと運営されるから存在できる組織です。
なのに、他者から著作権に基づいた手続きを依頼されたのに、「対応していない」。言葉を変えれば「無視」。
チンピラ企業みたいな対応。
「根拠の詳細を知らされてない」とか下手な言い訳したって、著作権のずさんな処理は露呈しているのです。自分のとこの弁護士と慌てて検討すべきでしょう? 恥ずかしい。
大学が他者の著作権をおざなりにする行為は、天に向かってツバを吐く行為です。
これは単純に事務局の軽率な回答と信じたいです。でもって、「馬鹿者!」と今頃京大の内部で大騒ぎになっていればいいのですが。
昔東大のそういうのに近いところで仕事していた経験から言えば、そもそも処理せずホームページに掲載している時点で二流です。京大総長の祝辞といえばヤフートップ級じゃないですか(ほんとにヤフートップになったかは知りません)。なのになんてずさんな。一流の自覚ないんですか?
今後の対応がおざなりになれば、京大は総長を筆頭に他者の著作権はないがしろにすると言われてもしかたなくなっていきます。アジアの大学ランキングに埋もれる三流大学としての地位を不動にすることでしょう。
もちろん、難しい問題ははらんでいます。多分自然科学からの視点では、これは「引用」の範囲なのかもしれません。自然科学は過去の成果を丸ごと内包して発展するからです。人類の偉大な発明である0はもはや小学生のたしなみです。
でも、自然科学以外ではそうではありません。たとえばクラシック音楽は小学生で卒業するものですか?
今回の件は単純に事務局の軽率な行動であることを祈りますが、仮に今後大学として「引用の範囲だ」などと論争を始めるのであれば、京大の中の人文社会系の先生たちは烈火のごとく怒るべきです。
相手は歌詞という自然科学の論文などとは違うジャンル。そこに自然科学界の慣行を押し付けてはいけません。「『引用』って書いとけばいいや」なんて、まさに著作権を軽視する人たちがやる浅はかな行為です。
仮に協議の末、結果としてこれが「引用」の範囲に収まるかもしれません。だからといって「無視」の状況はいけません。著作が存在基盤である組織が他者の著作権に関する依頼を「無視」など言語道断です。
これはきちんと処理してください。事前に処理できなかった時点ですでに二流ですが、これをいい加減に取り扱って三流になることなどゆめゆめないよう心から願います。天下の京大なのですから。
<追記(2017.5.20)>
より詳しい記事が出てました。
京大総長式辞にボブ・ディランは「著作権侵害」 JASRACからの電話報じられ大荒れ
「どうしてそういうことになるのか、説明がなかったため、どうすればいいか検討しようがないのが現状です。そのため特に対応はしていません」上で「弁護士」って書きましたけど、大学には特許の処理したりソフトウェア著作権処理するために知財部があるので、そこに聞けばいいじゃないですか。ホームページ運営しているのですから、普段からやりとりあるはず。なんですっとぼけてやり過ごそうとしてるのか謎です。
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: これは、「仮面女子」の歌詞を作った電気通信大学がオコすべき案件じゃないでしょうか。
フツクロウ: ホッホッホ?
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