今になって始まったことではないのですが、大学の文系を縮小せよという話題が取り上げられている記事を見かけました。

 政官財の愚かな圧力で、大学は想像以上にヤバいことになっている  

 冒頭に安倍首相の言葉が取り上げられています。
「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています」
 待て待て。「社会のニーズ」をいうなら、今こそ人文社会科学系の出番です。

 外国人観光客を増やしたいんでしょう? 人々が日本を訪れる理由の一つに重層な歴史文化があるのは明白です。私たちはもっともっと歴史文化の研究を深化し、それをコンテンツ化することでより魅力的にしかなければなりません。歴史建造物に油がまかれたとなれば大騒ぎになる国であり続けなければなりません。

 歴史文化に限らず、人文社会科学は自然科学による発展が一段落したこの国の次の発展の鍵です。いずれそのことは広く認知され、今のような偏った抑圧はなくなるでしょうが、とにかく今を生き延びなければなりません。各分野の人々がどういった社会ニーズにつながるのかみずから考え発信し、潰れないよう世論を味方につけてください。

 今まではモノを豊かにする時代でしたが、今は心を豊かにする時代です。そのために人文社会科学それぞれはきっとニーズがあるはずです!

 ただし、少子化傾向の中、大学の定員が必要以上にあるのは現実です。

 先日興味深い随想を読みました。

 センター試験の廃止に寄せて

 この中で、大学ではもう直せないことがあると語られています。
ところが現在の教育システムでは、(中略)多くの場合、理解させる事を放棄し、公式の丸暗記とその適用練習や計算のテクニックのみを訓練する。このような教育?(訓練)を小・中・高と叩き込まれると、大学入学後に更生させる事はもはや不可能となっている事は上で述べたとおりである。
 大学の人がこういうことをみずから認めるのはなかなか難しいです。これはある意味、教育は若い頃の方が重要だと認めていますから。

 奨学金という名の大学ローンが社会問題となっています。大学に借金して行っても、将来それを取り返すだけ給料が増えないのです。大学費用コスパの悪い投資なのです。

 ですから、誰でも大学に行くのは間違っています。大学の定員は多すぎるのですが。ですから潰れるか、安倍首相のいうように、職業訓練の色合いを強める必要はあることでしょう。

 だからといって、人文社会科学系を全廃なんていうのは暴論だし、しかもそれは役に立たない研究などではなく、これからの日本の産業に必要なものです。

 一人でも多く生き延びてください。それが明日の日本を豊かにします。


《ワンポイントミライ》(

ミライ: 中の人の知り合いに大学教授などの専門家が帯同する歴史ツアーを開催してるとこありますけど、かなり人気らしいですしね〜。

フツクロウ: ホウじゃホウじゃ。