嫌われるインテリがこれから生きていく方法(その1) のつづきです。

 今インテリが嫌われています。インテリといっても一部の人の問題ではありません。「論理的に考え方」が正しいと考えている人は大雑把にいってインテリです。EU離脱やトランプ当選で「論理が感情に負けた」と感じる人です。そういう人たちが今嫌われる対象です。

 なぜ嫌われるのか。

 インテリは論理的に考え尽くして結論を出していて、論理的に正しいと考えています。

 そこが間違っています。

 インテリたちの考え方はいろんな分野で古臭くなっていて現代に通用しないのに、まだそれが正しいと思い込んでいます。

 たとえば、もう資本主義は終わっています。今までは何かやるには資本が必要でした。なのでまとまった資本があることがとても大切だったのです。

 でも今やお金は有り余っていて、お金の方がまとまって資本が必要なところを探し回っています。昔は資本は貴重な資源でしたが今は過剰です。

 しかも、まとまって資本が必要な事業は減っています。たとえば今私たちの暮らしを豊かにするアプリが次々生まれていますが、それらは大抵あまり資本を必要としません。個人が頑張って作ったりします。

 そういった取り組みが少しお金が必要なら、クラウドファンディングやマイクロファンディングがあります。そういうところの資本需要は旺盛ですが、従来のまとまった資本はそういうところに入り込めてません。まとまっていないので、手間かかるからです。

 資本主義が終わったからといって、資本がいらないという話ではありません。農業だって工業だって今主役ではないけど、今でもちゃんとあります。資本もいるけど、単に主役でなくなっただけです。グーグルもフェイスブックも大した資本なく始まってます。その後大きくなるのには必要だったでしょうが、イノベーションの主役ではありません。

 こういった資本主義が終わっているという指摘はググればいくらでも出てきます。きっと学会では新しい理論も提案もされていることでしょう。個人的にはどんな数式が提案されているかも気になります。

 しかし、そういう議論を私たちが見ることはあまりありません。

 インテリたちがそういう話題をしないからです。

 これは自然科学分野とは大きく異なる現象です。

 例えば自然科学では、こんな記事が、論文が発表されるとすぐに現れます。

 自然界の第5の力、発見か|ギズモード・ジャパン 

 こういった最新の話題がソーシャルですぐ拡散され、私たちの目につくところに現れます。

 しかし、資本主義に変わる経済理論やその骨子なんて流れてきた試しがありません。

 それはインテリが本能的に自分に都合の悪い話題を避けるからです。

 インテリは、インテリが繁栄する世界を望みます。自分はまだ大したことないインテリでも、もっとすごいインテリになれば、もっとすごいことができる、成功が約束されるという世界です。でなければ、インテリを磨くのはバカバカしいことです。

 第5の力は、まさにその繁栄の象徴です。インテリの中のインテリの超天才科学者が世紀の発見かというわけですから、インテリにとってこんなに喜ばしい話題はないわけです。だから広まりやすいのです。

 一方、新しい経済学は、きっとインテリには都合の悪いものです。大きな資本に依存しない、中央銀行も機能しにくい、分散型の理論です。直近インテリにコントロールできないようなものでしょう。インテリにとって面白くない展開です。

 だから伝わってきません。そういう話題はインテリしか見つけられないし、でも本能的に避けるので広まらない。だから世の中のインテリのほとんどは、本主義は終わってるのではという疑いすら持ってないでしょう。例えば日本中の大学院生にアンケートしてみればいいのではないでしょうか。

 本来、その知性をフルに働かせて、市民の中で真っ先に感づかなくてはいけない層が、もっとも鈍感になっているのです。

 だから嫌われるのです。「世の中理屈だけじゃねえよ」と言われてるわけではないのです。そもそも言ってる理屈が間違っているのです。

 でも、インテリは、インテリ以外に間違ってると言われても、認めることはないでしょう。インテリでもないのに分かるわけがないと。

 だから、嫌われるのです。他人に間違ってるのでは?と指摘されても聞き耳持たない人って、嫌われて当然ですよね。

 ですから、嫌われたくなければ、「世のインテリたちの言っていることは間違っているかもしれない」と疑うことがスタートになります。


 (その3)につづく


《ワンポイントミライ》(

ミライ: インテリが都合の悪い話題を無意識にスルーし続けている結果がこれかよ! ということでしょうか。

フツクロウ: ホッホ。ホの通りじゃ。