「いいね!」で学ぶ、世界一わかりやすいお金の仕組み(その6)〜なぜ「いいね!」は格差を起こすか〜 のつづきです。
「いいね!」で学ぶお金の仕組みシリーズ、随分間が空いてしまいました。トランプ勝利をきっかけに別のシリーズで寄り道していたからです。
これまで述べてきたことは、お金の仕組みは、「いいね!」の仕組みとほとんど同じということです。「いいね!」の世界はニコ動の動画再生数の世界と同じで、化け物のような再生数の動画が少しある一方、ほとんど再生されない動画が無数にある世界です。
そしてその「格差」は、政府や大企業などの権力者が作っているものではありません。人間が大勢参加する世界では、突出するものが出るのです。
また、突出したもの以外が意味がないわけではありません。実際には、突出したものの下に大量の「中くらい」があります。皆さんがニコ動で見る動画でもっとも多いのはその「中くらい」の再生数のものです。
「いいね!」の世界は多様性の世界でもあるのです。クラシック音楽が好きな人もいればロックが好きな人もいるを実現しているのが「いいね!」の仕組みです。
つまり「いいね!」の仕組みは、人間活動の本質です。他の動物ではおそらくそうならないし、機械もそうではありません。
と人間の仕組みを理解すれば、こないだ見かけたこの記事もとてもわかりやすく読み直せます。
ノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートンが断言! 「格差のない世界を築くのは不可能です」
「格差にも良い面がある」というアンガス・ディートンの考えは、「ピケティブーム」に沸く世に一石を投じた。
と始まるこの記事。
──「格差」こそが経済成長の源だとお考えですか?
ディートン教授(以下D) どんなものにも良い面と悪い面があります。格差もまた然りです。
とかなんとか、ごちゃごちゃ言い始めるのですが、いいとか悪いとかじゃありません。
人間の活動の本質です。
ニコ動のような場を作れば、無数の小さいものが生まれ、その中から「中くらい」が大量にできて、その中の一部が怪物になるのです。
いわゆるロングテールです。それは「いいね!」やニコ動動画再生数だけでなく、市区町村の人口分布など様々なところに出てきます。
そうなるんです。
つまり「「格差」こそが経済成長の源」かという質問は、まったく本質を外しています。人間の活動は「いいね!」の仕組みでできていて、それが経済成長も「格差」も生み出しているのです。それに抗おうとしたソ連などの共産主義という社会実験は悲惨な結末を迎えました。
もちろん「いいね!」の超格差社会をそのままお金の世界に移してしまうと、生きていけない人が大量にでてしまいます。それが富の再分配であり、そのおかげで、お金の世界は「いいね!」の世界よりもはるかに「格差」が小さいことは、シリーズ(その5)で示しました。
私たちは今この現実に向き合わなければなりません。アンガス・ディートンは、「格差にも良い面がある」というマイルドな表現で問いかけていますが、現実は、まず人間の活動は「超格差」を生み出すのです。昔はそれがはっきりしていませんでしたが、IT技術でみんなが繋がったら、それがはっきりしたのです。
ですから、まずそれを認める。その上で、どうそれを生かしていくか、どう再配分をしていくか、その視点で考えていくべき時代になっているのです。
(つづく)
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: そう、逆なんですよね。
フツクロウ: ホウじゃな。
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