「努力」はオワコン、代わりに「やり抜く技術」を学ぶ社会に(その6)  のつづきです。

 答えがあるかないかわからない課題に取り組む力「やり抜く力」。それは、どんな逆境でも諦めないくそド根性なんかとは全然違います。それはいろんな力が組み合わさった総合力であり、だから簡単ではありません。

 ではどんな力の組み合わせでしょうか。やり抜く力その1は「解けそうな問題を選ぶ力」でした。

 やり抜く力その2/諦める力

 逆説的なのですが、「やり抜く力」として一番大事なことは「諦める力」です。

 明らかにできない課題を選ばない力がその1の「解けそうな問題を選ぶ力」でした。しかし、逆に簡単にできる課題は、誰でもできてしまいますから、やっても大きな結果にならないでしょう。つまり「解けそうな問題を選ぶ力」とは、できるかできないかぎりぎりのところを見定める力とも言えます。

 ちょっと話は逸れますが、リーダーシップに一番必要な力はこの力です。アメリカンフットボールのクオーターバック(QB)に例えられます。QBはパスを投げる役です。秀れたQBは、取れるかどうかぎりぎりのところにパスを投げます。簡単に取れるところだと、敵に取られてしまいます。あまりに遠いと味方はそこまで走れず取れません。
 リーダーシップにおいて、このパスは目標です。優秀なリーダーは「おっしゃああ、このパス取りに行け〜〜〜」ととんでもない遠いところに目標を投げます。メンバーは「無茶すぎるやろ〜〜」とツッコミを入れながらも、彼が投げるならなんとかなるかもと、必死に走っていて、見事その目標をキャッチするのです。

 閑話休題。できるかできないかぎりぎりの課題を選び、取り組み始めますが、それは、つまり、「できないこと」もあるということです。

 ですから、どの時点で「できない」と諦めるかという、「諦める力」こそが「やり抜く力」で一番大切な力です。「諦める力」がしっかりあれば、安心して「できるかできないかわからない課題」に取り組むことができます。「諦める力」が「解けそうな問題を選ぶ力」を育てるのです!

 これ、子供にはもともと備わっている力です。そう、「飽きる」という奴です。好奇心旺盛な子供達はなんにでも手を出しますが、飽きるのも得意です。

 ですから、私たち人間社会は、「飽きる」力を育てようとすることはなく、むしろ、根気よく取り組む力を伸ばすことに専念します。

 なんでも三日坊主では困りますからね。子供にしても、なんでも三日坊主では、自分は飽きっぽくってダメな人間かと自己評価が下がりそうです。

 ですから、「飽きる力」は悪い力として押し込めるのではなく、「諦める力」として昇華させなければなりません。

 その一つの対策は、「諦める」といっても、別に諦めずに、一旦棚上げくらいにしておくことです。今はその時期じゃなければ、いずれ良い日和が来るのを待つことにするのです。プロ野球に進むのを諦めたって、またいつか野球できるチャンスはあるのです。

 今はITの発展が爆速です。昔はできなかったことが、iPhone できたからできるようになったなんてことが沢山あります。

 私は花粉症ですが、ふと、自分の家の外の花粉が測れるかと調べたら、ワンボードマイコン arduino に繋げられるホコリセンサがあって、購入したら数行のコードでとりあえず測ることができちゃいました。爆速でした。何年か前だったらこうは行かなかったでしょう。

 少しやってみて、必要なピースが揃ってないとわかれば、とりあえずペンディングすればいいのです。

 もちろんそこで踏ん張って実現していく力も大切です。でも、ここぞというところで諦めずに踏ん張るには、「諦める力」があってこそです。「諦める力」のない人が無闇に踏ん張っても多くは徒労に終わるのですから。

《ワンポイントミライ》(

ミライ: 「やり抜く」ためにもっとも大切な力は「諦める力」! 逆説的ですね〜。

フツクロウ: ホウじゃな。しかもそもそも子供に備わっている力じゃから育てる必要もない。注目されにくくて当然じゃ。