私たちが生まれた時から慣れ親しんでいる、民主主義や資本主義という社会の仕組み。その一つ経済の仕組みである資本主義というシステムは、すでに終焉しています。
では何主義と呼ばれるものになっているのか。それはまだほとんど問題提起もされていないし、ましてや新しいシステムの提案もほとんどないことでしょう。
でもそれは始まっています。
その前に、本当に資本主義は終焉しているのでしょうか。
wikipedia には資本主義とは次のような原理と書かれています。
基本原理としては生産手段を持つ資本家が、生産手段を持たない賃金労働者を使用して利潤を追求する社会システム
たとえば自動車を作ろうと思ったら、資本家が莫大な資本を使ってどど〜んと工場を建て、そこに賃金労働者をかき集めて働いてもらって、初めてばんばん自動車ができるようになって、ようやく広くみんなに行きわたります。
私たちのこのモノの豊かで便利な世界ができたのは、この資本主義という仕組みのおかげです。
しかし、モノは豊かになり、時代は変わったのです。
先日象徴的なできごとがありました。google の人工知能が囲碁でプロに勝ったのです。しかし、その人工知能は google が生み出したものではありません。謎のロンドンのスタートアップ「DeepMind」がその源流です。google はそれを500億円以上で買収して、豊富な資金で囲碁に挑戦したのです。
これは象徴的です。
昔は、何かを開発するにしても、資本がものを言いました。必要なのは工場だけではありません。
開発にも資本がいりました。優秀な研究員はもとより、彼らが研究開発するための潤沢な設備も用意しなければならなかったのです。
子供の頃近くに「童夢」というスーパーカーを作る工房がありましたが、その活動は本当にゆっくりしたものでした(今もあるんですよ!)。車を大資本なしに作るのは、「童夢」のような例外を除いては、昔は極めて困難だったのです。
少し脇にそれますが、大学もそうです。昔は大学という設備が潤沢な場所がなければ、研究は難しかったのですが、今では大学でなくてもできる研究はいくらでもあります。大学がぐらついている遠因です。
「DeepMind」はどうでしょうか。ちょっとしたコンビュータ資源があれば、誰でもできる可能性があります。クラウドでコンビュータが借りられる時代ですから、自分でバイトしてでもできそうです。
昔は資本がなければ開発ができませんでしたが、今は、そんなものなくても、開発ができてしまう分野が増えているのです。いわゆる「イノベーションの民主化」と言われている現象です。
もちろん、「DeepMind」も、Google に買収された後莫大な資金をつぎ込むことでプロの囲碁棋士を打ち破りはしましたが、その基礎技術は Google が生み出したものではありません。
Google は世界中の優秀なエンジニアを抱え込んでいて、世界指折りの開発環境を持っているだろうに、Google 自身はその人工知能を生み出すことができなかったのです。
これが、資本主義の終焉を如実に示した象徴的な事件です。
逆に考えましょう。今までは、私たち市民としても資本を集中させることに利得がありました。トヨタがでっかくなればなるほど、潤沢な環境に優秀なエンジニアが集まってすごい車ができて、私たちはその車を享受できるという仕組みだったのです。格差の問題はありますが、大企業を優遇することは私たちの暮らしに恩恵があったのです。ですから各国は、国際競争力を高めるために、大企業を優遇することで自国の開発力を高めていたわけです。
なのにどうでしょう。世界有数の google は「DeepMind」を生み出せなかったのです。謎のロンドンのスタートアップが生んだのです。
さあ、私たちは、なにを奨励すべきなのでしょうか。「イノベーションの民主化」が起こった今、私たちの余剰、その一部は税金と呼ばれます、それをどこに割り当てれば、「DeepMind」のようなイノベーションが加速するのでしょうか???
(つづく)
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: 資本主義、終わってたんですね・・・。
フツクロウ: ホウじゃのう。
ミライ: ……、だからといって社会主義だという話でもないんですね。
フツクロウ: 全く、違うの。今までは資本を集中させることでイノベーションの効率を上げてきたが、もはやそれは効率的ではない時代に突入したということじゃ。
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