週刊『夏野総研』

週刊『夏野総研』vol.477【個人では勝つが、「組織力」で負ける日本企業】

2022/04/05 08:00 投稿

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▼第477号
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                              2022/04/05

   夏野剛メールマガジン 週刊『夏野総研』
              vol.477
    【個人では勝つが、「組織力」で負ける日本企業】
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《目次》
01.時事ネタキュレーション
02.Reading the world
03.Q&A
04.Product Lab
05.Good Food Good Life
06.ビジネスモデル分析のバックナンバーをピックアップしてみた
07.編集後記

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【01.時事ネタキュレーション】
 日々のニュースも見方を変えればいろいろなことが見えてくる。当コーナーは未来を読むための時事ネタや話題コンテンツを、私がキュレーターとなって解説していくものです。
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〈国内ニュース〉
◆アップル 外部決済システム利用可能に 手数料発生せず
https://bit.ly/3j36Hk0
 明らかに独禁法の対象から逃れる目的だが、正しい判断だと思う。今まで「Apple税」と言われていたプラットフォーム手数料の30%はさすがに取り過ぎだったろう。
 意外なのは、Googleより先にAppleが決断したこと。Googleの経営陣の判断が遅れたということか。

◆ソフトバンクG、異例の財務対策 アーム株担保1兆円調達
https://s.nikkei.com/3u3OngP
 資金繰りのスケールが大きいから、ちょっとした予測のズレが1兆円単位になるんだよね。

◆5G 「人口カバー率」2023年度末に95%へ 総務省
https://bit.ly/3J6RSao
 これだけ儲かっている携帯電話業界に、さらに補助金まで付けて5Gを普及させた総務省。しかし、特別なアプリケーションは何も生まれていない。総務省は反省すべきだと思う。

※この話題は、「06.ビジネスモデル分析のバックナンバー」コーナーでピックアップ

◆元DeNA社長の守安氏、タイミーCOOを半年で辞任。「コンプライアンス規程違反」と公表
https://bit.ly/38sA7px
 うーん……。悲しいが、こういうケースのほとんどはセクハラかパワハラ。残念です。

◆カプコン、 正社員の平均基本年収を30%増額へ。業績連動性をより高めた賞与支給など、報酬制度を4月から改定
https://bit.ly/3LE3xiH
 やるな。好調の時こそ、成果型に転換していくべき。

◆ベインが東芝買収を検討 筆頭株主と合意、非公開化前提
https://s.nikkei.com/3LzJ3rk
 思い切った再建策を打てるかどうか。日本の歴史ある巨大企業には面従腹背のサラリーマンが多いから経営者は苦労するだろうな。

◆代表戦無料視聴へ法整備を サッカー協会の田嶋会長
https://bit.ly/3LDQm1o
 それって法整備の問題か? 疑問だな。

◆伊藤詩織さんの請求棄却 中傷に「いいね」、違法認めず―東京地裁
https://bit.ly/3NPYQ7A
 どうやら線引きはこの辺りだということがクリアになりそう。「いいね」はセーフだが、リツートや乗っかるコメントは×。

◆海自カレー、2年間毎週食べて停職 対象外の事務官「慣例で味見」
https://bit.ly/3K3kW3Y
「それくらい……」ということも、“軍の規律という意味ではアウト”ということだな。

◆ロシア国防省 “北方領土で軍事演習を開始” 日本をけん制か
https://bit.ly/3j6ofeZ
 まだそんな兵力が残っているのか。今後、財政的に維持するのは厳しくなるだろう。

◆財源がないから小学校を潰す…地方で進む「学校統廃合」の知られざる現実
https://bit.ly/3DATEQ2
 この傾向は少子化や人口減少下で加速する。そろそろオンラインによる自宅学習でも認めないと、登校すること自体が不可能な子どもたちが出てくると思う。

◆発達障害児「学級に2人」、衝撃結果が広げた大波紋 | 「発達障害」は学校から生まれる
https://bit.ly/3KfcYoI
 アメリカでは既に「発達障害の子どもが常に存在すること」が前提の教育システムになっていると聞く。障害と呼ぶかどうかは個人差の問題で、画一的な教育は一部の子どもにしか最適解ではない。個人差を認め、多様性を認めるシステムに転換することができるかどうか、それが問われている。

◆児童4人にプリント配らず、給食は少量...小学校教諭を懲戒免職 「教員によるいじめ」と横浜市教委
https://bit.ly/3K6It40
 最悪だな。

◆日本の経済格差「深刻」88%、縮小のため「賃金底上げを」51%…読売世論調査
https://bit.ly/3J6y6fk
 セーフティーネットの充実と賃金底上げは別の話。格差是正が重要なのか、セーフティーネットが重要なのか、そろそろ議論を分けた方がいい。

◆「2回で大丈夫」副反応懸念で様子見多く…3回目「職域接種」低調、前回の25%
https://bit.ly/3DRE037
 職域接種が低調になっている最大の理由は、タイミングが遅かったこと。行政接種の後に職域接種をやったから、多くの従業員はすでに接種を受けてしまっていた。「何のための職域接種か」を考え、前回のようにむしろ行政よりも早く職域を開始すべきだったと思う。

◆理研で雇い止め、1年後に600人 労組が撤回要求「日本の研究力低下」 研究チームの解散、神戸が4割
https://bit.ly/378yOvf
 研究職に労組って、なんだかなあ。

◆給与デジタル払い、議論再開 安全性課題、解禁時期見通せず―厚労省
https://bit.ly/3j5v9AY
 恩恵を被るはずの労働者側が反対しているという変な構図。「労働者側」の代表はデジタル払いに関係のない大企業の労働者だから、賛成も反対も自分たちには関係ないはずなのに。銀行口座が作れない未成年者や外国人労働者、そして日払い労働者の便益は確実に向上するが、その層の代表者はいない。

◆首相“学部再編促す具体策など5月中提言を” 教育未来創造会議 | 教育
https://bit.ly/3u5g9cE
 これまでの文科省の方針では、既存学部の定員増は認めず、新学部増で対応することになっていたからこのようになってしまった。今さら再編といってもねえ……。

◆奨学金「出世払い」検討を…首相が指示、就職後に一定年収になったら返済
https://bit.ly/3J12KH3
 それってまさに「育英奨学金」だよね。

◆防衛省が攻撃型ドローン研究へ ウクライナ侵攻で存在感示す
https://bit.ly/3DDzfKe
 ドローンは島嶼防衛には不可欠な存在になった。


〈海外ニュース〉
◆ロシア軍侵攻の行方は「スターリンク」が覆した情報戦の戦略
https://bit.ly/3K8V32O
 スターリンクはいきなりインフラとしての地位を確立したかもしれない。各国の軍は間違いなくバックアップとして大量調達するだろうから。イーロン・マスク、すごい。

◆ダイソン、空気清浄機付きノイズキャンセリングヘッドフォン「Dyson Zone」
https://bit.ly/3j4reEM
 あまり欲しくないな。

◆NFTゲーム「Axie Infinity」の「Ronin」にハッキング--6億ドル相当盗まれる
https://bit.ly/3K9n8Hi
 このような事例は今後多発するだろう。コールドウォレットは危険だが、毎回書き込むガス代(手数料)は膨大。どうバランスをとるか。

◆米、旅券で性別「X」選択可能に 4月11日から
https://bit.ly/3Kdv6PB
 そもそも、パスポートに性別が記載されている意味がないな。

◆戦費試算「1日最大3兆円」、高価な長距離精密誘導弾使用にプーチン氏激怒か…「支持失う前に金欠に」
https://bit.ly/3DAQsE8
 ロシア経済がどんどん疲弊しているが、北朝鮮を見る限り、まだまだ先は長そう。

◆ロシア政権内部に異変…要人辞任・動静途絶、「クーデター辞さず」観測も
https://bit.ly/3K71inS
 クーデターは突然起こる。察知された者は既に粛正された後だろう。

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【02.Reading the world】
 超情報化社会となった現在。しかし、メディアの情報を鵜呑みにしたり、世論に流されていては簡単に「物事の本質」を見失ってしまう。世間を騒がす事象やビジネスについて、見過ごされる深層や本質を解説していくコーナーです。
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【個人では勝つが、「組織力」で負ける日本企業】

 先日、ファッションブロガーのMBさんと話していて、不思議に思うことがあった。
 日本には個人の名前で活躍するファッションデザイナーが多くいる。コム・デ・ギャルソンの創始者である川久保玲やヨウジヤマモト、イッセイミヤケなどは、世界でもその名が知られている。現在、ファッションの第一線で活躍しているデザイナーたちが「尊敬しているデザイナー」として、日本人を挙げることも多い。個人のデザイナーがここまで活躍している国は、日本以外で珍しいだろう。

 しかし、個人のデザイナーが世界で注目される一方で、同じくらい世界に知れ渡っている“アパレルメーカー”は少ない。日本発でいえば、せいぜいユニクロくらいだろうか。
 反対に、欧米などでは、個人のデザイナーの名前が立つだけでなく組織としても強い。例えば、ルイ・ヴィトンはもはやファッションブランドというよりも経営集団だ。ルイ・ヴィトンが中核ブランドになっているLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは、Diorなどのファッションブランドのみならず、モエ・エ・シャンドンなどワインメーカーまで傘下に収めている。
 最大手のルイ・ヴィトン以外にもグッチなどヨーロッパのブランドには、創業者であるデザイナーがすごいだけでなく、組織の力が強いブランドが多いことがわかる。

 同じことは、建築の世界にも言える。日本ほど、世界的に有名な建築家を多数抱える国はないだろう。しかし、世界に通用するゼネコンは1社もない。
 つまり、「日本はデザイン力が強い個人はたくさんいるにもかかわらず、組織になった瞬間弱くなる」というのが、紛れもない事実ということになる。昔から「日本は個人より組織力」と言われていたが、こと経営においては日本の組織力は大したことがないのだ。

 実はこの疑問を、ある超有名なファッションデザイナーに直接聞いてみた。
 

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