スマートフォン。もう、それなくしては生きられないほど必須のガジェット。

その中身には、持ち主のリアルな生活がつまっています。

先日、東京版もスタートしたこのシリーズ。

ニューヨークと東京は、住んでみると同じ大都会でありながらまったく似ていないことに気付きます。人の勢い、空気の匂い、信号を待つ東京人、ルールにしばられないニューヨーカー...。

それと同様に、各都市に住む女性たちもスマホも、それぞれが個性的。ただひとつ、同じだと言えるのは、スマホが誰にとってもパーソナルな存在であること。

ニューヨーク版の今回は、マンハッタンでキャリアカウンセラーとして働く女性のスマホをのぞいていました。

マンハッタンに暮らすキャリアカウンセラーのスマホの中身

山本紹子(やまもと・しょうこ)さん
職業:キャリアカウンセラー(日系人材派遣会社勤務)
NY在住歴:4年

都会がすごく好き。父親の職場である新宿の高層ビルを訪れて以来、街を見下ろしながら働くのが憧れだった、という紹子さん。

しかし現実は、テキサスの大学に進み、帰国後は銀行員として地方暮らしを続けていました。

思い立ったらやるタイプという紹子さんは、30歳を過ぎて一念発起。ついに夢のマンハッタンで働くことに。現在34歳。そんな彼女のスマホの中身は...。

――いちばんよく使うアプリは?

SNSやメール以外だと「クックパッド」。最近検索したのは、鶏肉のねぎ味噌炒めです。見ないでも作れるメニューですが、大失敗しないように調味料の比率を確認します。

手際が悪くておっちょこちょいなので、調味料をあらかじめ混ぜておき、材料をすべてボウルに用意しておきます。その通りには作らないけど、自宅に余った具材で何が作れるか検索して、ヒントにしたりもしますね。

――暇つぶし用のアプリは入れてる?

オフラインだったら「Farm Hero」。野菜を3つ並べて消していくゲームです。ハマってしまうのでゲームはあまりダウンロードしないようにしています。待ち時間が長いときや電車のなかではこれをやっています。

バスでは「Duolingo」というアプリを使って、大学で学んだスペイン語の勉強をしています。街で言われる悪口ぐらいは聞き取れますよ(笑)。

毎日やらないとレベルが初期化してしまうんですが、最近サボっているので、ずっとベーシックレベルで食べ物のユニットを繰り返しています...。

――ホームスクリーンはどんな画像にしてる?

ずっと変えていなくて、日本で6年間勤めた会社をやめたときにいただいたお花の写真です。

勤めていた銀行では、外為を担当していたんですが、保険の積立が満期になったのと戦後最高値の円高の瞬間がはまって、財形も下ろしてドルを買いに走りました。

ずっとアメリカに来たかったけど半ば諦めていましたが、お金の面やビザについてなど明確なプランもできて、「ニューヨークが私を呼んでいる!」「ついにマンハッタンの高層ビルで働ける!」と思いました。

――朝イチでチェックするアプリは?

Shoko@NYCさん(@choco_moto)が投稿した写真 - 2016 8月 14 5:06午後 PDT

EメールとFacebookです。Facebookには月に1、2回しか投稿しませんが、アジア系の友だちの誕生日パーティによく行くのでその集合写真が多いです。

以前はクラブやバーでやっていましたが、年々結婚願望が強くなっている同年代の友人も多いので、最近はホームパーティに移行しています。

――寝る前にベッドでチェックするアプリはある?

平日はスマホを見るとライトがホルモンのバランスを崩して、精神的に良くないので、暗いところでは見ないようにしています。

週末に見るとしたらお買い物サイトの「Amazon」やダンスのイベントやミートアップをチェックしたり、「BDC(ブロードウェイ・ダンス・センター)」でサルサなどのクラスを予約したり。

やりだしたら止まらないので寝る前は極力避けています。あとはSNSのメッセージを確認して、ちゃんと返信します。

――音楽を聴くアプリと、いまいちばんよく聴いている曲を教えて。

Pandora(パンドラ)」で90年代や2000年代のR&Bを聴いています。TLCやアリーヤ、2000年〜2005年の間のアトランタやルイジアナのアーティストが好きです。リル・ウェインやアッシャーも聴きます。日本のものは、親が嵐の音源を送ってくれるので聴いています。

――天気や時計で登録している都市は?

今度ハワイに行くのでホノルル、東京とニューヨーク。日本に帰ったときは両親のいる名古屋に滞在せず、東京で"OLする"のが趣味です。

以前も一時帰国の際にひと月ほど、短期の派遣社員として東日本橋で貿易関係の仕事をしました。都会にスーツを着て出勤するのが楽しいんです。

オフィスファッションが好きで、ルールのなかで悪あがきをする、というテーマでカラフルなジャケットを着たりしています。私服はパーティドレスとジャケットがメイン。意外と普段着がありません。

――Siriって使う?

前は一晩じゅう会話して遊んでいましたが、いまは使っていません。

Siriではないですが、調べものはよくします。Google Chrome、Safariを使って、タブを10個ぐらい開けてとことんリサーチ。英語だけでなく日本語の言い回しを調べたり。虫については苦手である分、詳しいです。

ウンチクも好きで、医療用語に詳しいんですけど、その語源であるラテン語についても興味があります。例えば「Coworker(同僚)」の"Co"はTogetherの意味、とか「Asymmetry(非対称)」の最初のAは片側という意味、とか。

――最近いちばんウケたメッセージは?

今度みんなでご飯を食べに行くんですが、Facebookのメッセンジャーで、ただご飯を食べに行くだけなのに大袈裟なイベントのように名前をつけて盛り上がっています。

その名も「DVD(デジャヴディナー)」。一度食事をしたことのあるブラックの男の子2人とアジア人の女の子2人で出かけるので、2回目という意味みたいです。友だちをスペシャルゲストと呼んだり、身内で大袈裟な会話を楽しんだりしています。

――アラームって使ってる?

目覚ましを7時半にセットしているのと、Googleカレンダーでイベントの一時間前にポップアップで知らせるように設定しています。

――スケジュール管理はどうやって?

Googleカレンダーのほかに、マンスリーの手帳も使っています。日本から持ってきたカラフルな消えるペンや修正テープ型のデコレーションテープがお気に入りで高校生みたいにデコっています(笑)。

――最近「Uber」でどこ行った?

ロングアイランドシティの自宅から、ミッドタウンの間は10分ほどで5、6ドルなので電車に遅延があれば使います。夜、ちょっとでもお酒飲んだらすぐ乗っちゃいますね。「Lyft」のアプリも入れてますけど、「Uber」の方が使ってるかな。

「くだらない話ばかりしてごめんなさい。変わった人って有名なんです(笑)」と謙遜する紹子さん。

でも、他人にどう思われようと「マンハッタンで働く」というクリアなビジョンがあり、それを自力で叶えた実行力は並大抵のものではないはず。

慎重派ではない、という言うものの、ひとつひとつの質問にていねいに答える姿から、着実に夢へのステップを積み上げる堅実さを感じました。

お気に入りはブライアントパーク・カフェ

紹子さんがランチタイムによく訪れるのが、オフィスから近いブライアントパーク。

周辺のカフェでテイクアウトしてパークのベンチで食べたり、パーク内の「ブライアントパーク・グリル」で贅沢ランチを楽しむこともあるそう。

夏は芝生のグリーンが眩しく、冬はスケートリンクやクリスマスマーケットでにぎわい、季節ごとに表情を変えるビジネスマンの憩いの場所です。

取材日は、オープンエアの「ブライアントパーク・カフェ」でBLTサンドウィッチをオーダー。

外国人がいたら「How are you?」と自分から話しかけてしまう子どもだった、という紹子さん。社交的な彼女のパワーを存分に感じるスマホの中身でした。



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