小さい顔に長い手足。なんでも着こなせる素質をすでにそなえているパリジェンヌだが、ファッションへのこだわりは日本人とはひと味違っている様子。
ロゴではなく質のよさでバッグを選ぶ
ミディアム丈の内巻きのブロンドの髪に大きめの黒ぶちメガネがよく似合う、30歳のあるパリジェンヌ。彼女は、ブランドものを身につけることについて次のように考える。
「ブランドものとわかるような、ロゴが堂々と見えるバッグは絶対持ちたくない。それは、エレガントではない印象を与えるから。もちろん、質の良いブランドもののバッグを持つことには賛成だけど、そのロゴを堂々と見せるのは気恥ずかしいとすら感じてしまいます」。
フェミニンで美しく、かつ知的な印象を与えるタイプの彼女。パリジェンヌのファッション観の根底にあるのは、あくまでも「自然体であれ」ということ。
ブランドもので自分を引き立てようとするのは、素の自分が放つ魅力をかき消してしまうことも。主張しないおしゃれを選択し、自然体の自分をアピールすることこそが、彼女らの放つエレガントさのカギと言える。
パリジェンヌのファッションのこだわり
また、34歳のパリジェンヌはファッションへのこだわりについてこう教えてくれた。
「意識したことはないけど、選ぶ基準はコンフォターブル(快適)であるかどうか。カバンも、パソコンやA4ファイルをざっくり入れて持ち歩ける、メンズもの。服だって、快適に過ごせるものならなんでもいい(笑)」。
フレアジーンズに大きめのニットカーディガンをざっくりと羽織り、ユニセックスのノーブランドバッグを肩から下げる姿は様になっている。こんなに着こなしが上手いと感じさせるのに、ファッションに気を使わないという意外な回答に驚く。同時に、「自然体が美しい」とはこういうことなのか、と思える。
美しさを得たいなら、素の自分を好きになる
このように、意外とファッションを難しく意識していないところに、パリジェンヌらしさがあるのかもしれない。ファッションよりも、仕事や趣味でみっちりと詰まった一日のスケジュールを忙しくクリアしていくことにこそ、頭が一杯の彼女たち。
本当の美しさは、顔のつくりなどにあるのではなく、パリジェンヌのように、堂々たる自分の素の姿で勝負しようとする姿勢にこそあるように感じる。
自分が備えもつ姿を愛おしみ、自分なりのエレガントさを追求することこそが彼女らの「おしゃれ」。その姿は、シンプルでナチュラルだからこそ際立つ、一輪挿しの花のように美しい。
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