アメリカの学校の休みは日本と少し違い、クリスマスから元旦まで約1週間の休みがあったあと、2月後半からまた1週間の冬休みがあります。どうせなら日本のように年末からお正月明けまでまとめてくれたら、帰省して家族みんなで日本のすてきなお正月を過ごすことができるのになぁと、元旦がくるたびに思うのですが、2月の冬休みはいつも忘れたころにやってくるので、ちょっと得したような気もします。
ところで、今年の冬休みは我が家にちょっとした事件がありました。
冬休みの初日にNYCの教育局から手紙が届き、なんだろう?と思って封を切ると、なんと『お宅のお子さんは、これまでの学校生活での態度、もしくは成績表などから、このままでは進級は難しいと思われます』という内容だったのです。
まさか小学1年生から落第とは......! たしかに娘はまだ英語が完璧ではないので、そのせいかとも思いましたが、年末の三者面談では、英語もそれほど問題なく、授業も宿題もしっかりやっていてクラスメイトとも仲良くできているのでまったく問題ないです、とのことだったし......。成績表もとくに悪くなかったので、本当に寝耳に水で驚きました。
これが日本の学校だったら、教育委員会から郵送でこんな通知が送られてくる前に担任から話があったりすると思うのですが、アメリカはもっとシステム化しているというか、生徒の成績をつけるのは担任、それをジャッジするのは教育局、といった感じでもっとドライなのです。
すぐに担任にメールをしましたが、冬休み中のため返事がくる気配もなく、この一週間、気持ちが落ち着かずに過ごしたのでした。
この数年、娘が新しい環境と異文化のなかでどれだけ頑張ってきたことだろうと思ったり、なにも知らず無邪気な娘の姿を見ていると、何度も泣きそうな気分に......。
気晴らしに、家の近所にある娘の好きな絵本屋に行くことにしました。すると偶然、娘の好きな絵本作家が店に遊びにきていて、娘が元気よく声を出して絵本を朗読をするのを見て、「Good Job!」と言ってくれたのです。
もちろん娘は大喜び。娘は絵を描いたりストーリーを考えるのが大好きで、よく絵本をつくる人になりたいと言っていたので、ますます憧れが膨らんだようでした。
帰り道「おかあさん。おおきくなったらニキちゃんも絵本つくれるかなぁ」と言うので、私は「もちろんなれるよ。好きなものに、なんだってなれるよ」と答えました。
そして冬休みが終わり、月曜日。娘を学校に送って家に戻り、あぁ学校でどうしているかなぁ、とマグカップを片手に心配していたら担任から電話が。
「I'm so sorry.Niki is really good.通知は人違いです。お嬢さんはまったく問題ないのでご安心ください」とのこと!
あぁ、もう〜。そんなこんなで心配をかけた友人や日本の家族に連絡をし、とりあえずこの問題は一件落着したのでした。
アメリカは小学1年生でも成績が悪いと、まるで大学並みに落第するのだと知り、今回本当に驚きました。それはたしかに学力という部分では子どものためになるのかも知れないし、なにかと合理的ではあると思うのですが、私は自分が子どものころに通った小学校や、優しかった担任の先生が、なんだかとても恋しくなりました。
冬になると子どもたちはよく風邪を引いて青鼻を出していましたが、担任の先生はそんな子を見つけては鼻紙(ティッシュのこと)片手に、チーンと子どもの鼻をかんであげていたなぁとか......。あのころは、子どもは勉強より元気がいちばんでとても呑気でした。
そんなことを思い出していたちょうど同じ週、日本のニュースでこんな記事を読みました。日本の公立学校の教師が、困窮家庭の生徒の奨学金手帳を預かってやりくりしてあげたり、教室で生徒の兄弟の子守を代行しているという内容で、アメリカの学校とあまりに対照的なので、とても興味深く思いました。
娘は今日も元気に学校から帰ってきました。授業で絵本をつくったと、なんとも嬉しそうな顔をして! 先日お会いした絵本作家さんの影響か、いつにも増して生き生きといたいい絵を描いたなぁと思いました。
思いがけず娘からたくさんのことを学んだ、いい冬休みでした。