未来のハウジング像を追い求めて
理想的な住処とはどのようなことなのか? "Housing is a human right"(住まいをもつことは人間の権利である)をテーマに、将来の社会がどのように高齢化社会・シングル社会に対応すべきかと、建築の点から様々なプロジェクトを行う集団が注目されています。「ASSEMBLE(アセンブル)」と呼ばれる彼らはロンドンを拠点に活躍しており、建築・アート・デザインをコンセプトに2010年から18人のメンバーで活動を開始。人々と「公共」をつなぐような、しかしそこに住むリアルな人々の意見を取り入れたり、生活様式を配慮、そして実際に彼らを巻き込んで一緒に作業するなどの活動を行っています。
住む人の手を借りて作業することは、決して作業費を浮かせるようなものではありません。実際にそこに根を下ろす人だからこそ、その人なりの思い入れやアイディアなどを共によく吟味、一緒に試行錯誤しながら空間とは作られてしかるべき、との考えからなのです。
高齢化社会が求める住処像とは
その中でも特に注目すべき最近のプロジェクトは、ベルリンの高齢者たちと共同で設計した、高齢者のためのレクリエーション施設。この施設が作られたのはベルリンのPankow(パンコー)という地域。中心部からはずいぶんと離れた所にもかかわらず、住居探しが非常に厳しいベルリンにおいて現在とても人気のある地域となり、過去6年間の間で30%も家賃が値上がりしました。そんな郊外まで建設ラッシュが相次いで及び、人との交流を促すレクリエーション施設などはまるでなし。そんな状況を危惧したベルリンのイニシアティブや活動家からアセンブルが招かれ、プロジェクトが開始されたのでした。
アセンブルはその他、過去にガソリンスタンドを改装、近隣住民が集まれる小さな映画館を創ったり、あるいは有名なものでは自宅にあるマテリアルを使って改装した可愛らしい世代住宅「ヤードハウス」などがあります。「足りないならば作ってしまえばいい」という考えを改め、今あるものを最大限活かし、人々も街も豊かになる都市計画。今こそ本気で見直してゆくべきなのでしょう。
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