じつはこれ、もとはドイツに古くから伝わる物語に端を発したものだということをご存知ですか? 私もそれを知ったのはつい数年前のこと。ドイツで子どもを授かるまでは日本の昔話か何かだと思い込んでいました。
それから時が経ち、その「本場の」コウノトリが連れてきた赤ちゃんも、もう2歳。そしてまた次のコウノトリが私たちのところにやってきたようです。国が変われば、妊娠・出産・子育て事情も様々。なかでも医療技術も高く、子どもを産みやすい制度が整っていると言われるドイツの実情を、これまでの経験とリアルタイムでの目線を通じてお届けします。
健診を受ける病院と産む病院は別
妊娠した女性がまずすべき課題、それはおそらく「病院選び」ではないでしょうか。日本だと妊娠期間から出産までひとつの病院で、分娩予約もとにかく早く(妊娠がわかったらすぐ!)、というのがよくあるパターンかと思います。しかし、ドイツでは基本的に健診を受ける病院と、お産する病院は別。
<妊娠期間中>かかりつけの小規模な産婦人科医院(分娩施設はない)
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<お産>分娩施設のある大きな病院や大学病院、もしくは助産院
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<出産後>元のかかりつけの小規模な産婦人科医院
つまり、出産に立ち会うドクターは普段ずっと診てくれていたドクターではなく「初対面の人」! 正直、これにははじめ、一抹の不安を覚えました。しかし、実際経験してみるとこれといった問題は特にナシ。しっかりした連携とサポート体制のもと、ひとつの滞りもなくことは進み、完全に私の杞憂だったなぁ、と。
検診とお産を別にすることでメリットも
ちなみに、分娩予約も出産の約1~2か月前でOK(ずいぶんのんびり!)。予約なしの飛び込み出産にも対応しています。通常検診とお産を切り離すことで、日本でよく言われる産科医や助産師不足を解消し、それゆえに出産の受け入れ態勢にも余裕があるようです。
そんなシステムなので、ドクターもしっかり休暇をとるのがこちら流。私の通う医院も先日きっかり2週間お休みでした。(お休みの間に受診が必要な場合は提携先の医院を紹介されます。)もちろん、いち患者としては、いつどんなときでも同じドクターに診てもらえるのが理想。けれど、それだけでは医療従事者は疲弊してしまいますよね。
妊娠・出産というテーマを、一人の女性のものとしてだけではなく、社会全体の問題としてとらえ、どういうシステムが理想なのか、その視点を忘れてはならないと考えさせられました。