子どもの健康か親の自由か
それは車に未成年(乳児、小児をもちろん含む)が乗っている場合、大人は喫煙してはいけないという法律。たとえば先駆のギリシャでは、12歳未満の子どもが同乗する場合のみ禁止としており、これに反すると1500ユーロの罰金がとられます。イギリスでは、18歳未満の未成年が同乗するときはいかなる時にも禁止(ただしカブリオレで走行するときはこれがすべてでない)。フランス・イタリア・ポーランドでも車内における禁煙の取り締まりを子どもの年齢を焦点に現在整備している途中で、ドイツでもこれから本格的に審議に入る検討がされているところです。
興味深いのは、未成年を守るための法律に「親の自由を奪うもの」として反対する意見も多数あるということ。しかしながら法の整備を進めたい政治家たちは、喫煙そのものを否定するのではなく、車内における有害物質の濃度があくまでも問題だと指摘しています。
受動喫煙の恐ろしさ
サイト「がんらぼ」では受動喫煙の恐ろしさを紹介しています。たばこを吸う本人は有害物質をフィルターに通した上で肺に入れるわけですが、受動喫煙の場合は、有害物質をフィルターなしに直接肺に入れてしまうと指摘しています。受動的に喫煙をする人たちの肺がん死亡率は喫煙者本人の1.19倍、狭心症や心筋梗塞の死亡率に至っては1.25倍になることからも、非常に怖いものであり、軽視できません。
大人たちはこれらリスクを承知の上で喫煙をする選択肢があるからいいのですが、問題は子どもたち。有害物質は、小さな体の中でさらに大きな健康被害を生み出します。サイト「rauchfrei」によるとEU内の15、16歳の29%が、過去1か月以内に喫煙をしたと答えていることから、家庭や周りの環境の中で、煙草が非常に身近にあることは明らか。35歳から69歳の間に喫煙に関連した病気によって命を落とす人も多く、たばことそれに伴う肺がんなどの医療費はEUにとって頭の痛いテーマのようです。
子供の喫煙率を下げるには、まずお手本となる親を説得、そのために法の介入が必要と判断されたわけですが、このような動きは日本にもやってくるでしょうか。
[EXPRESS.DE, がんらぼ, rauchfrei ]