「記憶力、知力、消化力、精力、オージャス(活力素)、カパ、脂肪を増大させ、ヴァータ、ピッタ、毒物、錯乱、疲労、不幸、発熱を除去し、すべての油脂類の中で最も優れている。ギーは用い方によっては無数の効果をあげることができる。」
「ヴァータ体質の人、ピッタ体質の人、ヴァータ性とピッタ性の病気の人、視力を強くしたいと望んでいる人、怪我をした人、やせた人、老人、子供、体力のない人、寿命を延ばしたいと望んでいる人、太りたい人、子供を欲している人、若々しさを求めている人、消化力・活力・記憶力・知恵・燃焼力・理性・感覚機能の力を高めようとしている人、灼熱感・外傷・やけどによって苦しんでいる人によい。」
古典医学書『チャラカ・サンヒター』より
どんな体質の人でもOKで、心身をうるおすようなすばらしい効果のある油なのです。食用以外にも、外用薬として使うこともあります。たとえば、目が疲れた時や充血したときは、まぶたにギーを塗っておくと緩和されますし、やけどに塗っておくと治りが早くなります。
使い方は普通の油と同じで、炒め物に使ったり、バターの代わりにトーストやパンケーキに塗ったり。また、少し心がざわつくようなときは、温かい牛乳に溶かして飲むのもおすすめです。
効果効能もさることながら、とってもおいしいギー。私はバターを使ったものを食べると胃がもたれてしまうのですが、ギーだとなぜか大丈夫です。とはいえ、摂り過ぎは禁物。体と相談して適量を摂ってくださいね。
今日つくったもの:ギー
ギーはインド食材店でも購入できますが、自分で作ることができます。
材料は無塩バター(有塩バターは不可)のみ。少なすぎると焦げやすいので300g以上あるといいかもしれません。厚手の鍋(土鍋など)にバターを入れ、弱火で溶かします。完全に溶けたら、中火にします。沸騰すると、細かい泡がでてくるので、また弱火にします。このまましばらく経つと、大きな泡がでてくるようになり、だんだんと小さな泡が混ざり、沸騰する音が変化します。
溶けたバターが黄金色になり、乳臭さがなくなった頃ができあがり(香ばしい匂いがしてきたら、残念ながら加熱し過ぎでギーとしては失敗......。ゆったりとした気持ちで鍋を見守っていましょう)。火を止めて、油こし紙やコーヒーフィルターで漉して清潔な容器に入れます。最初は写真のような液体ですが、さめるとバターのように固まります。冷蔵庫で保存しましょう。上質なギーは永遠にもつと言われていますが、半年くらいを目安にするのがいいかもしれません。とはいえ、おいしいのですぐに使い切ってしまうと思います!