幸いなことに、この「食料品の廃棄」をなんとか減らそうという動きも、次第に増えてきました。
廃棄食品の12%はパン
そのうちの一つ、最近ヨーロッパで話題になっているのが、ベルギー・ブリュッセルのBrussels Beer Projectです。この若いビール醸造会社が作り出したBabylone(バビロン)は、なんと売れ残りのパンを利用して作られたビールなのです。
なんでも廃棄される食料品の12%を占めるのがパン。そこに注目し、大手チェーンスーパーDelhaize(デレーズ)らの協力を得て、売れ残りのパンを回収。ビール製造に使おうと思い立ったのが始まりだとか。
売れ残りのパンで大麦30%の節約
硬くなったパン。最初は金槌で叩いてみたり、焦がしてしまったり、思うようには進まなかったそうです。試行錯誤の末、ようやく見つけたプロセスは次の通り。
パンを薄く切り、90℃で1時間熱したのち、ミキサーで砕いて、粉状にし、真空パックに詰める。
(Slate.frから翻訳引用)
この「パン粉」に、麦芽を混ぜて作られるのがバビロンなのです。この「パン粉」導入のおかげで、大麦の使用量は30%も節約されます。
甘味と苦みの混ざったユニークな味
バビロンというビール名は、古代バビロン王国でパンを原料にシカルというアルコールが作られていたことに因んでいます。食の原点に還るような命名で、なかなか素敵な選択です。
気になるお味ですが、ビールの比較サイトでも好評を博しています。評価によると、フルーティでありながら、甘味と苦みの混ざったアンバー・ビール、という記述が目立ち、香ばしい匂いにキャラメルやハーブの香りを感じる人もいるようです。
開発者のオリヴィエ氏に言わせると「他にないユニークな味としか言いようがない」とのこと。
食品廃棄は、私たちが取り組まなければならない大切な問題のひとつ。一挙に解決とはいかなくとも、こんな風に、少しずつでも無駄な廃棄を減らすことで、次の世代に明るい未来を残せるようにしたいものです。