1958年に開場し、2014年までの56年間、サッカーやラグビーといったスポーツやコンサートに湧いた国立競技場。その歴史をずっと見守ってきた青いシートがこの度、蘇ることになりました。手がけたのは、3組のデザイナーと国産家具メーカーの「カリモク家具」です。商品にはカリモクのロゴの焼き印が押され、このシートが国立競技場で使われていたことを証明するプレートも付属されます。
無駄がない美しいスツール
林裕輔さんと安西葉子さんによるデザインスタジオ「ドリルデザイン」は、軽やかさと強度を兼ね備えたスツールに。「これを所有した人が、どのように使うのか。何を思うのか。何十年か後には、どんな存在になっているのか。そんなことを意識しながらデザインをしていました。」とのこと。軽やかなフォルムがTOKYO のイメージに重なるように感じたことから「TOKYO スツール」とネーミングされました。
「国立のシートは、誰かにとって記憶に残り、価値や愛着があったモノ。古くなったからといって破棄するのではなく、一部だけでもそのバトンを受け継いで、新しい住処、その先にある関係性を作れたら」と考え、デザインしたのは、家具と空間のデザイナー白鳥浩子さん。人を乗せ、思いを運ぶ架け橋としての「小さな椅子=ポニー」という意味から「pony チェア」名付けられました。
記憶が積み重なる2人がけのベンチプロダクトデザイナーの鈴木元さんは、隣りに座った人と時間や体験を共有できるベンチをデザイン。「このベンチが、モノに積もる時間や記憶の深さを考えるきっかけになれば」と、鈴木さん。2つの座面の幅は、国立競技場で使われていた当時のシートピッチが再現されています。
思いを受け継ぎ、生活に溶け込む半世紀以上にわたって日本の歴史を見てきた青いシートがデザイナーたちによって生まれ変わり、わたしたちに届けられる。ちゃんと思いを受け継ぎながらも生活の中に溶け込むようにデザインされているので、使う側としても、今後、さらに愛情を込めることができます。長く使って、将来、「これは以前の国立競技場で使用されていたものなんだよ!」と自慢したくなる一品。個数限定なので、気になる人は急いで!