私たち日本人にとっては食材として身近な存在の海藻。世界中どの海にも育ち・繁殖しているだけでなく、水中の毒物を取り除き水をキレイにする「浄水処理」をしてくれる植物としても知られています。サイト「オート・イノベーション」によると、世界中の酸素の約80%は海水のわかめ・コンブなどの海藻の光合成によって作られているという事実も。
アーティストにとっては非常に融通の利く素材であるという理由が海藻の魅力。高い塩分を含んでいることから、非常に保存が良く、また驚くことに火気にも強い、ということから、家具などの材料としてもぴったりなのです。
癒される優しい自然の色彩テロワール・プロジェクトではまず、昆布をみずから収穫。これを良く乾かし、パウダー状にします。その後水分を加え根気よく煮詰める。この作業により、こんぶ特有の粘りである「アルギナート(食物繊維組成物)」が生成されます。このペースト状になったものを紙のパルプと混ぜ、柔らかいうちにランプシェードや椅子の座面の型どりを行います。
パルプを混ぜ込むことで材料がさらに強固になり、自然乾燥後の耐久性は非常に高くなるといいます。できあがりのものは全て一点ものの味わい深さで、優しい色彩をもつのも素敵。
乾いて固くなった時点ではすでに海藻の匂いは消えているものの、ほんの少しの潮の香りがするのがオーガニックならではの良さなのでしょう。古くなった後も100%リサイクルできるというのが素晴らしいですね。
このプロジェクトを執り行うのは、デンマークのデザイナーであるヨナス・エドバードとニコライ・ステーンファットのふたり。デンマークの美術大学卒業後、自然と人間をつなぐアート活動を世界中で意欲的に行ってきました。
今年はイタリア・ミラノで行われる「マインドクラフト15」に招待もされるほど。過去に数々表彰されたふたりですが、これからどんな素材を使った活動をしていくのか、どんな驚きを私たちに与えてくれるのかが楽しみです。