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「筋金入りのエコロジスト」として有名なステラ・マッカートニー。幼少の頃からベジタリアンである彼女は、自身のデザインに、レザーや毛皮といった動物性の素材を決して使用しません。
毛皮のファッション利用の是非をめぐっての論争は、よく耳にしますが、なぜ、人気素材であるレザーをステラは拒否するのでしょうか。その理由を辿っていくと、トップクラスのファッションデザイナーの着眼点が、単なる動物愛護にとどまらないことがわかります。
ファッションのために殺される牛たち2012年に、動物愛護団体の「PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)」が行った「アンチレザーキャンペーン」の一環として出演した動画のなかで、ステラはこう切り出します。
「私は"何を買うべきか"について指図するつもりはありません。ただ、事実を知ったうえで、レザー商品を買うかどうかを考えて欲しいのです。」
PETA「アンチレザーキャンペーン」動画より翻訳
毎年、何百万頭という牛がファッションのために殺されています。
アメリカの牛革工場では、牛は尻尾と角などを麻酔なしで切断され、生きたまま吊るされ、皮を剥がされます。また、牛革の主要生産国であるインドでは、牛たちは工場までの100キロメートル以上もの長い距離を、水や食糧をいっさい与えられずに歩かされます。歩けなくなった牛の目に唐辛子の粉末を入れて、無理矢理立たせる光景は日常です。
周囲の環境への汚染牛への残虐な行為だけではありません。革を生産する過程で大量の化学薬品を使用されるため、周囲の環境は汚染されます。それは、その地域に住む人びとの健康問題に直結します。スウェーデンやイタリアの研究によると、革工場の近隣住民が癌になる確率は、一般より20%から50%高いとも言われています。
ステラは自身のウェブサイトで、
「服飾やアクセサリーに使用される動物の皮には、腐敗を防ぐため腐食性の有害な化学物質がたっぷりとかかっています。自然資源、という印象からはほど遠い、正反対の事実です。」
(「Stella McCartney」より引用)
と話しています。
「レザーを使用しない」という決断は、ファッションデザイナーとしては、正直、大きな制限にもなりかねます。しかし、ステラはそれに代わる新素材の開発の努力を惜しみませんでした。
例えば、2013年には環境にやさしい人工皮革として、植物油を50%以上使用した、ナッパレザー風の新素材を発表しています。また、環境ホルモンなどが懸念されるPVC(ポリ塩化ビニル)レザーは、2010年から完全に使用を止めています。
こういったステラの取り組みは、すべて「持続可能な社会の実現」という大きな理想から来るものです。「持続可能」とは、未来までずっと永続できるあり方を指しています。毎日着る洋服、バッグや靴が、どのような工程で生産された素材なのか。私たちの選択が、環境を守ることにも、汚染することにもつながります。
「どんな未来を作っていきたいのか」......その考えも含めて、身に纏うことが大切ではないでしょうか。
ステラの考えは、「Stella McCartney」のなかで詳しく紹介されています。興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
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