季節や降り方によってさまざまに名前をつけられた雨。その日本人らしい繊細なネーミングセンスが堪能できます。
異議あり?「男梅雨」「女梅雨」・春雨(はるさめ)
春の後半にしとしと降り続く雨。・卯の花腐し(うのはなくたし)
初夏の頃、卯の花を腐らせるほど続く長雨。・時雨(しぐれ)
秋の終わりから冬の初めに降る冷たいにわか雨。・分龍雨(ぶんりゅうう)
夏に、まるで龍の体を分けるほど激しく降る雨。・神立(かんだち)
元は雷・雷鳴を指す言葉。次第に雷をともなった夕立、雷雨を指すようになった。・喜雨(きう)
夏、日照り続きのあとに降る雨。・天泣(てんきゅう)
雲がないのに雨が降ってくること。天気雨。「狐の嫁入り」とも言う。・肘笠雨(ひじかさあめ)
急に降り出した雨。肘を傘の代りにして軒先まで走る様子から。(『大切にしたい、にっぽんの暮らし。』P150より引用)
梅雨の異称として「卯の花腐し」以外にも、「五月雨(さみだれ)」があります。旧暦5月ですから、だいたい6月頃に降る長雨のことで、逆に晴れた日は「五月晴れ(さつきばれ)」となります。晴れの日に名前がつくなんて、それほどまでに梅雨の晴れ間が待ち望まれていたのでしょうか。
ほかにも梅雨といえば、「男梅雨」「女梅雨」なんていう呼び名もあります。激しく降ってカラっと晴れる男梅雨、弱くしとしと降り続く女梅雨。名付けられたころの理想の男性像と女性像なのでしょうか。
美しいその名前を知れば、雨の日もちょっと待ち遠しくなります。
[『大切にしたい、にっぽんの暮らし。』]
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