そんな「いけばなは格式張った、面白みが足りないもの」というイメージをちょっと横に置いて、たとえば展覧会に絵を見に行くような気持ちでいけばなに触れてみてはいかがでしょうか。
いけばなの54流派が作品を披露3月17日から、目黒の雅叙園で開かれる『いけばな×百段階段 2015』。東京都の有名文化財に指定されており、「昭和の竜宮城」と呼ばれた目黒雅叙園。そのなかにある百段階段は、昭和10年に建てられ現存しているもので、昭和初期に著名な作家たちによって描かれた日本画と意匠が凝らされた装飾が施され、その豪奢さは桃山から江戸にかけての美術文化を引き継いでいるものと言われています。
その百段階段に、いけばなの54流派が9週間にわたり、週替わりで作品を披露されるのです。
考えてみれば、いけばなは生花を飾るもの。その「生き物」が、文化財という「そのままの形で引き継いでいくもの」のなかに展示されるさまは、荘厳な屋敷にみずみずしい少年少女が入り込んできて空気を活き活きとさせてくれるような、わくわくした気持ちを感じることができそうです。
昭和のアーティストが描いた装飾のなかに、現代のフラワー・アーティストの作品が配されて時代を超えて美術がミックスされる光景も、きっと一見の価値があるはずです。