それらについてまとめられた和の暮らしのガイドブックとも言えるのが「歳時記」。なかでも暮らしに少しでも取り入れやすくなるよう、可愛らしく教えてくれるのが『大切にしたい、にっぽんの暮らし。』(サンクチュアリ出版)です。
手軽に楽しめる歳時記ちょっと堅苦しく、お勉強要素の強かった従来の歳時記のイメージとは異なり、同書はオールカラーで、ほっこりとしたイラストが目に楽しいのが特徴です。ひとつひとつの行事や習わしをていねいに余すとこなく教えてくれるので、「もっと知りたい」という気持ちが自然と湧き上がってくるのです。
たとえば「針供養」のページでは、その解説や針供養を行う有名な寺社の紹介はもちろんのこと、マグネットを使った針に関するプチアイデアや、現代風にエコでかわいいミニピンクッションの作り方まで紹介されています。
古の知恵で心が豊かになるもちろん、七十二候、雑節、その月ごとの行事、風習もしっかり書かれています。そのほか、暮らしが豊かになる知恵や工夫、モノに頼らない昔ながらの遊びや、季節ごとに旬のものをつかった料理の作りかたなど、ページをめくるごとに、年齢を重ねても知らなかったことの多さに驚かされます。
古くから伝わる習わしは、そのどれもに深い意味が込められているのだと実感するにつれ、心がまたひとつ豊かになっていきます。単調な日々だと感じていたなら、それはたぶん古の知恵を忘れていたからなのかもしれません。
ページをひらくたびに、日本で暮らすことをもっと楽しみたくなる1冊です。
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