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雪国のチンコロ市。甲斐みのり「コンフォート雑貨のある暮らし」

2015/01/15 22:00 投稿

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1月10日、新潟県十日町市の「節季市」へ行ってきました。節季市は、江戸時代からつづく歴史ある市。2メートルを越える積雪の豪雪地帯・十日町市では、冬のあいだは農業ができません。そのため農家の人たちは副業として竹やわらで民芸品や生活雑貨をつくり、それらを持ちより販売する市がたつようになりました。

田齋忍さんの「ちんころ屋」に並ぶチンコロ。こちらは「ねこたい(猫×鯛)」。おばあちゃんに教えてもらった昔ながらの色やかたちを受け継ぐ。

開催されるのは、毎年、1月10日、15日、20日、25日の4日間。十日町駅から徒歩10分ほどの諏訪町通りが会場となります。通りには、かご、乾物、漬物、お菓子、野菜、魚などを販売する露店が50軒ほど連なり、朝9時のはじまりからにぎやか。子どもから年配者まで、雪降るなかでも晴ればれと楽しげな表情を浮かべています。

「ちんころ屋」で選んだチンコロ。田齋さんが使う基本の色は、赤・緑・黄色の3色。白は米粉そのものの色。

節季市は通称「チンコロ市」とも呼ばれています。チンコロとは「小さな犬」という意味で、米粉を練って蒸して形づくる、縁起ものの飾り。明治のころから節季市で販売されるようになり、いまでは市でいちばんの人気。チンコロを売る店のまえには開店前から長い列ができるほど。市は16時頃までですが、チンコロにかぎり午前中には売りきれてしまいます。

田齋さんのおばあさまがつくり方を指導した「エンゼル妻有」のチンコロ。干支の羊、雪だるま、雪国のこどもと、かたちもいろいろ。

昔は焼いて食べていたそうですが、こんにちでは部屋に飾って鑑賞用に楽しみます。米粉でできているので、次第にひびが入り割れてくるけれど、ひび割れが多いほど幸せを呼びこむと言われているので、悲しむことはありません。地元の人はまた翌年、あらたなチンコロを求めるため市に足を運びます。

公民会活動として地元の人が集まりつくっているという「中条ちんころ伝承会」のチンコロ。子どももおじいちゃんも真剣。

今年、市に並んだチンコロ屋は全部で4軒。明治時代からチンコロをつくっていた家系に育ち、おばあさまからつくり方を教えてもらった田齋忍さんの「ちんころ屋」の他は、同好会・伝承会としてグループでチンコロづくりをしています。「ねこ×たい」「いぬ×まり」「もちつきうさぎ」「花」などが伝統的なモチーフで、白・赤・緑・黄色の3食が基本の色、次第に、干支や雪国の子どもをかたどった、カラフルなチンコロもつくられるようになりました。

「つまりちんころ同好会」のチンコロはカラフル。装飾にビーズも使う。

4軒すべてを巡り、いろいろな種類のチンコロを買うことができたところで、新潟独特の屋台菓子「ポッポ焼き」を食べあるきしたり、手づくりかごを選んだり。午後からは、チンコロのつくり手・田齋忍さんに話を伺い、チンコロつくりを体験させていただきました。

田齋さんに指導いただきながら、私がつくったチンコロ。「まりいぬ(鞠×犬)」。

チンコロの詳しいつくり方や歴史は、3月にグラフィック社から上梓予定の著書をぜひご覧くださいませ。日本各地に根付く、郷土玩具を紹介する本。郷土玩具にゆかりのあるお菓子もいろいろ紹介しています。

チンコロ市はこの1月、まだ数回開催されるので、ひとつとして同じものはない愛嬌たっぷりの縁起ものを求めに、雪国へどうぞ。

にわとりをかたどった「トットッコ」は、こしあん入りの、しんこ餅。昔は、チンコロのように、立体的なかたちをしていたけれど、つくれる人がいなくなり、平面的にアレンジして復活させたそう。「中条ちんころ伝承会」の露店にて購入。

手編みのかご、ざる、カンジキ、笠を並べる店は、女性客がひっきりなし。

蒸気をあげる特別な焼き器でつくるため「蒸気パン」とも呼ばれる「ポッポ焼き」。薄力粉、ミョウバン。炭酸、黒糖をつかった生地で、新潟ならではの屋台のおやつ。

「節季市」の露店は、野菜、魚、乾物など、食材も豊富。

十日町市の積雪。道の両脇に雪の壁が。雪国で生まれた、暮らしのための市。また来年も、再訪できたらいいなあ。

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