エシカル素材として取りあつかうブランドが増えてきているピースシルク。生産過程で蚕(かいこ)の命を奪ったり傷つけたりすることがないということで注目されはじめています。
蚕を殺さないシルク
通常シルクの生産過程では蚕が羽化する前に繭玉(まゆだま)を茹でて糸を巻きとっていくため、なかにいる蚕は当然死んでしまいます。一方ピースシルクは、一般的にそこから生地を織るための糸はできないとされている「蚕が羽化したあとの繭玉から紡いだ糸」でつくられているのです。
蚕を殺さずにシルク生地を生産する技術は、織物技術の研究家であるインドのクスマ・ラジャイア氏によって1991年に開発され、2001年から市場に出回るようになりました。そのため、ピースシルクはヒンディー語で「不殺生」の意味をもつアヒンサー・シルクとも呼ばれています。
繭玉をわずか15分で煮出してつくられる通常のシルク生産とくらべ、ピースシルクで使用する繭玉を用意するには蚕が羽化するのをまつため約10日間かかります。また、羽化した後の繭玉から取れる糸は6分の1の量にまで減ってしまうそう。
「例え価格が通常のシルクにくらべて割高になるとしても、数千、数万の生き物の命はなにものにも代え難い」という強い信念のもとで、ラジャイア氏は国内外でのピースシルクの普及活動を続けています。
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