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恵みの色。お米を溶かしてつくったガラスの器

2014/11/17 19:30 投稿

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岡山県備前市。ここにガラス工房「ヒロイグラススタジオ」があります。こちらを主宰する花岡さんは大阪でキャリアを積み、故郷であるこの土地でスタジオを立ちあげました。
焼き物で有名な備前。土地柄の出やすい焼き物と違い、ガラスといってもピンと来ないかもしれません。ですがこの地に生まれ、ガラス工芸を生業にした作家さんにしか生み出せないものづくりの物語が静かにここからはじまっていたのです。

故郷のお米がつないだ人とモノの物語

ここは古くから稲作と縁の深い土地。備前焼の土にも田土(ひよせ)と呼ばれる田の底の土が使われます。実は花岡さんのご両親は米農家。工房前に広がる豊かな田園は、日本最古の庶民学校「閑谷学校」の経営を支えた学校田だったそうです。

そんな由緒あるこの土地で、毎年豊かな実りをつけてくれる稲穂ですが、作物は天候や害虫に左右されるもの。こちらも例外ではなく、ときには例年の半数の収穫になってしまう田も。そのようなときには未成熟なお米も多く出てしまいます。

花岡さんが帰郷した年の米は残念ながら不作でした。肩を落とす父の背を見て自分にできることはないか......。そう考えたとき思いついたのはなんと「お米を溶かし込むこと」。被害で上手く育つことができなかった未熟米を使い、ガラスに発色をさせてみようと考えたのです

お米で色づけしたガラス

通常、ガラスの着色は無機物である金属化合物などを用います。お米で行っている人はいないため、ノウハウもなく試行錯誤の日々。ただでさえ大変な炉の作業に加えて米を溶かしこむ作業にも多くの時間がかかります。

そんななかやっと着色に成功。吹きガラスの竿の先につけたガラスはなんと灰色。ため息をつきそうになった時、炉の中を見やるとその下には違う発色が。湖面の清い青を流したような優しい落ち着いた色味。こうして、備前のガラス「グライス」が誕生したのです。それはつくり手が人を想う心と、豊かな土地がくれた恵みの色でした。

ここから自身の経験を活かした美しい並模様のシリーズができました。

やわらかな青のグラデーションは主張しすぎず食卓に調和をもたらします。故郷のお米がつないだ人とモノの物語。それは使い手にわたりその先へとまたつながっていきます。

スタジオでは、美しい色や模様の器も制作されているので、シーンに寄って選ぶのも良さそう。使い手の視点に立ってつくられているので使い勝手、手触りともに逸品です。ガラスというシャープな素材のなに、どれもあたたかさを感じるものばかりです。

寒さ深まる季節、企画展が開催されます。直接ふれて伝わるものに想いを馳せるのも、ほっこりしたこころのごちそうになりそうです。

ヒロイグラススタジオ 冬のガラスギフト展】
日時:2014年11月29日(土)~12月7日(日)期間中無休 10:00~18:00
場所:SEIDEN gallery 岡山県備前市穂浪583-1(ヒロイグラススタジオ併設)
電話:090-7591-0428

【師走のイロドリ ~工房あめつち・花岡央・森田千晶三人展~】
日時:2014年12月5日(金)~12月27日(土)
※12月7日(日)は11:00~18:00
場所:田園調布いちょう 東京都大田区田園調布3-1-1 ガデス田園調布ビル2階
定休日:12月14日(日)、21(日)※年内は27日まで営業
電話:03-3721-3010

【冬のビールグラス展】 *日野明子さんのセレクト展です
日時:2014年12月6日(土)~12月16日(火) 12:00~20:00
場所:SML 東京都目黒区青葉台1-15-1 1F
電話:03-6809-0696

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