ドイツでつくられるワインの35.8%は赤ワイン。そんな赤ワイン大国のドイツで、いま大きな注目を浴びているのが「オレンジワイン」です。
名前のように色はとてもキレイなクリアオレンジ。テイストは、女性ごのみのローズヒップやライチ、オレンジなどの花や柑橘系特有の香りと、それにノートとして香ばしいアーモンドもプラスされていて、桃や洋ナシの香りを持つものもあります。
※2014年10月号Me gusta-Lust auf Weinより
オレンジワインがつくられた背景このオレンジワインは、じつは白ワインからできたもの。近年の白ワイン人気の低迷を打開するために考えだされたものだったのです。
典型的な白ワインは通常、圧搾したブドウ果実から皮や種などを取りのぞいた「モスト(ブドウ発泡酒)」が完全発酵するまで樽のなかで寝かせてつくります。一方の赤ワインは、皮や種を取りのぞかず搾りとった果汁といっしょに寝かせ、そのエキスをブドウ発泡酒に抽出させてつくります。
オレンジワインは、白ワインを赤ワインのような行程でつくったもの。モストにぶどうの皮や種を醸すことで、オレンジ色になるのです。また、オレンジワインは白ワインよりフェノール、タンニンが増えるため、適度な酸味があり美味だといいます。
8000年前のつくり方を応用このオレンジワインの魅力のひとつが、酸化防止剤を可能なかぎりつかっていないこと。
市販のワインでは酸化を防ぎ、品質を安定させるために、酸化防止剤として二酸化硫黄を添加するものがほとんどです。少量ならば人体に問題はないとはいわれていますが、なるべくなら摂取したくないもの。
そんな中、酸化防止剤を入れるワインづくりに疑問を持つブドウ農家が、8000年前からグルジアに伝わる、酸化防止剤を必要としない作り方を発見しました。これが、オレンジワインのつくり方に似たものだったのだそうです。
白ワイン用のブドウの皮や種を製造過程で加えることで抗酸化作用が働き、二酸化硫黄をつかわなくても済むのだそう。これを改良し、味・香り・そして色すべてを含めて新しい自然派ワインとして誕生したのがオレンジワインだったのです。
現在、フランス・ドイツ・オーストリアでこのオレンジワインが広がりつつありますが、忠実なワイン造りにこだわるワイナリーなど、この流れに批判的な見方をする人々もいます。しかし、本当に良いもの、カラダによいものを突き詰める人たちはこういうのです。「自然に勝るテクノロジー(技術)などない」と。
[Oscars]
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