人生は、選択のくり返しだなぁと思います。
岐路に立った際に、変化を選ぶのか、あえて変わらないことを選ぶのか、正解のない決断は、いつだって大きな勇気のいるもの。それでも、わたしたちはどの道を行くのか自ら決め、歩みを進めています。

どうやらそれは、数年前、オーガニックやフェアトレード、アップサイクル、伝統文化の継承など、地球・人・社会にやさしい取組みを内包する「エシカルブランド」を立ち上げた、ぶれない信念を持つ女性たちも同じのよう。

エシカルブランドが続々と増え、一般的にも少しずつ認知されつつある今、がむしゃらに走ってきた彼女たちがふと立ち止まり、次の一歩を踏み出す、そんな岐路の傍らに立ってお話を伺ってみたくなりました。

今回お話を伺うのは、EDAYA(エダヤ)代表の山下 彩香(やました あやか)さん。

エダヤのアクセサリーは、フィリピン・山岳地方(コーディリエラ地方)の竹を使い、伝統的な儀式に使う楽器をモチーフにしたもの。2012年10月に日本でお披露目された際には、モチーフになった楽器自体も同時にコレクションとして発表され、個性的なコンセプトが感じられました。

(左から)バリンビン ボウ ピアス/10,590円、バリンビン ファーティリティ ピアス/6,270円、バリンビン レインドロップ ピアス 5,400円(すべて税込)。

エダヤが目指すのは、「失われつつある無形文化を次世代につなぐ」こと。

じつは、当時わたしはこのコンセプトが理解しきれず、山下さんに長文の質問メールを送ったことがあります。山下さんはそのとき、フィリピンにいたにも関わらず、ひとつひとつ丁寧で的確な答えをくださいました。

そのおかげでわたしは、エダヤのしようとしていることは、「その地方に伝わる形のない文化をモノに落とし込み、その価値を世界に伝えること」だと理解。また、そこでえた"購入"という評価を地方に持ちかえることで、地域の人びとが文化の魅力を再認識し、みずから受け継いでいってほしいという山下さんの思いを知ることができました。

実際にお会いした山下さんは、おっとりとした柔和な印象とはうらはらに、自分の思いを熱く饒舌に語り、何もせずにいるのが苦痛だという働き者。フィリピンでもきっと絶え間なく動いているんだろうな、と想像してしまいます。

感じ始めた現地の人びとの変化

現地の自主性と個性を大切にする山下さん。その思いは強く、できる限りの決断を現地でできるように、とフィリピンで会社を設立してしまうほど。

ーースタートから約2年がたったいま、山下さんの思いはフィリピンで働く人びとにどんな変化をもたらしたのでしょうか?

スタート当初は、商品を作る部分でも、アクセサリーのサイズをそろえる必要性すらわかってもらえず、基本的なところでつまづく日々でした。販売に関しては、販売先が日本やヨーロッパということもあり、わたしが動かなければいけない部分が多く、なかなか現地の人たちに渡すことができなかったんです。

でも、いまでは見せ方やプロモーションの仕方が、現地側から提案されてくるようになったんですよ。今秋発表する新コレクションのビジュアル制作が現地の主導で動いていて、現地のモデルさんを使い、現地の写真家に撮ってもらうという形で進行しています。

できる限り現地で、に込められた思い

ーー山下さんの目指す現地の方々との関係性は、「生産は途上国、販売は日本で」と分担する従来のフェアトレードの形とは違いがありますね。

途上国が抱える貧しさは、解決されなければいけない問題ですが、エダヤに関わる人たちには、その問題が解決した先を見据えた価値観を伝えたいと思っていますそれには、できる限り現地の人びとが中心になってできるようにすることが大切なのです。

ーー山下さんが描いているのは、具体的にはどのような形なのでしょうか?

100人の雇用を生み出すなら、100人が同じものを作る工場ではなく、それぞれの個性を生かした自主性のある10人の工房が10個できたらいいな、と。

豊かさを手に入れたわたしたち日本人が、東日本大震災を経験し、お金は大事だけれど、それだけではいけないと感じはじめたように、いまは貧しさに立ちむかう途上国も、貧しさを乗りこえたとき、同じように感じる時が来るのではないでしょうか。

そのような時が来ても、その土地の文化や自分たちのルーツなどを反映したプロダクトを自分たちで生みだし、広めていける方法が身についていたら、自らの意思で次の選択をしていけると思うので。

ーーフィリピンでの取り組みは、その1つめのモデルになっていくのでしょうか?

そうですね。まずひとつの形を作り上げて、その形をもとに、たくさんの工房を作っていきたいですね。

エダヤの哲学を、言葉と行動で表していく

ーー次の地域などの構想はありますか?

じつは、場所はフィリピンでなくてもいいし、伝えていくのが無形文化でなくてもいいんです。もしかしたら途上国でなくても、日本でもいいかもしれない。

なにかを抱えていたり、理由があって埋もれていたり......そういった、なにもしなければ日が当たらず、失われていってしまう形のないものすべてがエダヤがプロデュースするものの対象です

山下さんから感じられる、目に見えない、失われつつあるものに光を当てることへの強い思いはどこから来ているのですか?

そのルーツは、わたしのマイナーなものすべてに対しての思いにあります。わたし自身、生まれつき左耳が聞こえないということがあり、見えない才能や埋もれてしまっている人たちにとても関心がありました。

そういったいわゆる少数派の人たちは、仕組みや資金などなんらかのサポートで、大きな花を咲かせる力を持っています。

その力強さを引き出して、壁を乗り越えていくバネ感のようなものをブランドという形で表現していく、そんなプロデュースができればと思っています。

ーーエダヤの3年目の活動は、より幅広いものになりそうですね。

2年経ち、フィリピンの工房でも、ようやく少しずつ現地の人を中心に回せるかもしれないという兆しが見えてきましたし、わたし自身も、だいぶ現地の人たちの意思を組みこめるようになってきました。これからは、現地の人たちの才能を伸ばし、育てていきたいと思っています。

また、エダヤスタート当初からあった思いが、2年間、たくさんの人と話すなかで、言語化されてきました。これからは、その思いも少しずつ皆さんに言葉で伝えていきながら、見えないものを見える化するプロモーションをしているのがエダヤだと行動で示していきたいと思います。

EDAYA 2nd Anniversary Party -Reborn-

エダヤ2周年記念イベントが開催されます。記事中にも触れた新作ジュエリーのお披露目もあるそう。

■東京
会場:kurkku home (〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-18-21)
日時:2014年9月13日(土) 
昼の部 16:00~18:00(15:30 開場)/夜の部 19:30~21:30(19:00 開場)
会費:昼の部 2,500円(ワンドリンク&スイーツ付)/夜の部 3500円(ワンドリンク&軽食付)
※予約制。定員になり次第、受付終了。

■大阪
会場:調整中
日時:2014年9月16日(火) 19:00頃開始予定
会費:2,500円(ワンドリンク&スイーツ付)

申込は、こちらから

[EDAYA]

RSS情報:http://www.mylohas.net/2014/09/039878next_stepedaya.html