チームラボ《憑依する滝、人工衛星の重力》2014年
人工衛星「だいち2号」(ALOS-2)実物大模型にプロジェクションマッピングした作品。描かれた滝と、跳ね上がる水の粒子を眺めていると、本当に水辺にいるような爽やかさを感じて不思議な気持ちに。
みなさん、こんにちは。アストロ・コミュニケーターの景山えりかです。
今日から新連載『星と暮らす』がスタート! 毎日の暮らしの中に星や宇宙の存在を意識することで、そこから得られる小さな喜びや発見、感動を、みなさんとシェアしていきたいと思います。
さて、人工衛星の打ち上げや、日本人宇宙飛行士たちの活躍を通して、リアルな宇宙の姿は私たちにも身近なものになってきました。まだまだ高額ではありますが、宇宙旅行だって夢の話ではありません。
一方で、星空や宇宙の存在は、大昔から人間に様々なインスピレーションを与え続けてきました。文学や音楽、エンターテイメントなど、人が生きていくうえで必要な内的表現の源は、宇宙にあるといっても過言ではないでしょう。
研究開発によって日常に近づいてきた宇宙と、芸術的な表現としての宇宙。まったく異なるように思える2つの領域を、見事に融合させた展覧会「ミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えて」が、東京都現代美術館で開催中です。
oblaat《隣の宇宙》より穂村弘の作品 2014年
エントランスロビー付近の大窓には、宇宙にかかわる詩が。天候や昼夜によって窓越しに見える景色が変化して、訪れるたびに違った表情が楽しめる。
この展覧会では、インスタレーション、映像、写真、プロジェクションマッピング、参加体験型作品など、約50点を2つのフロアにわたって展示。ジャンルを超えた、多様な宇宙を体験できます。
新たな美意識や価値観に目覚めさせてくれる魅力的な作品の数々から、ひとつご紹介しましょう。
チームラボ《Cold Life / 冷たい生命》(書:紫舟)2014年
実はこの作品、Ultra HD(4K)の解像度によって超微細まで描かれた映像作品なんです! 立体的に再構築した書「生」から、枝が伸び、花が咲き、蝶が舞い、生命が溢れだす様子が3次元で表現されています。それでは、こちらの動画をどうぞ。
最初に現れる丸いモノは、きっと月でしょう。満ちたり欠けたりを繰り返す月は、昔から誕生と再生の象徴です。月に見守られながら巡る季節と、そこに存在する生という営み。私たち一人ひとりの「生」も、宇宙や自然界とのかかわりの中で営まれていることを、この作品は感じさせてくれます。
ネットで動画を見ているだけでも独特の世界観が伝わってきますが、会場ではソニーの4Kプロジェクターを使って大きく投影されているので、迫力が違います! 美しい映像の世界に、吸い込まれそうになる感覚。ぜひ展示会場で味わってほしいです。
ほかにも、カーペットの上に寝転びながらプラネタリウム・クリエーター大平貴之さんによる宇宙を眺めたり、国際宇宙ステーションの無重力空間下で抹茶を点てる様子を映像で見たり、弾力性のある特殊な布でできたチューブの中に入って無重力を疑似体験したり......と、盛りだくさんな内容で、驚きと興奮の連続です!
地球光
プロデュース:籠谷 武 美術デザイン:稲付正人 設計:早坂聰史 造型:渡邊昌義
ライティングデザイン:藤原工 2014
月面から青い地球を望むイメージのフォトロケーション。月旅行の気分で記念撮影を。
作品を堪能した後の休憩場所は、美術館2階のカフェがおすすめ。会期中は「人工衛星カフェ」として営業しています。漫画家・和田ラヂヲさんによる、人工衛星を擬人化したイラストにクスッとしながら、展覧会の余韻を楽しみましょう。
H-IIA(エイチツーエー)ロケットの模型や、人工衛星に関する展示など、宇宙色でいっぱいの店内。
人工衛星型のバニラアイス「バニサット」も人気。ネーミングは、ベトナム初の人工衛星「VINASAT(ビナサット)」にちなんで。600円(税込)
宇宙とは、科学と芸術の世界を自由に行き来するためのパスポートのようなもの。宇宙に親しむことは、固定された観念や価値観を柔軟にして、私たちの心に翼を与えてくれます。まるで、心地よい場所を求めて国境を自由に超える渡り鳥のように。この展覧会で、自分の世界が大きく広がるはずです。
[東京都現代美術館]
「ミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えて」
会期:6月7日(土)~8月31日(日)
休館日:月曜日(但し、7月21日は開館)、7月22日
会場:東京都現代美術館(企画展示室1F/地下2F・アトリウム)
アクセス
開館時間:10:00~18:00(7月18日、25日、8月1日、8日、15日、22日、29日は21:00まで)※入場は閉館の30分前まで
観覧料:一般1300円、大学生・専門学校生/65歳以上1000円、中高生800円、小学生以下無料(価格は税込)※小学生以下の入場には保護者の同伴が必要です
「人工衛星カフェ」(カフェ・ハイ)
場所:東京都現代美術館2F
営業時間:11:00~18:00 (ラストオーダー17:30)
定休日:美術館休館日
電話:03-5620-5962(直通)