86.3歳と世界最長を誇る日本人女性の平均寿命。でも、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間をあらわす「健康寿命」は、実は73.62歳。平均寿命との差は約13年もあり、しかも男性の9年よりも長くなっているのだとか。つまり、女性の方が、健康になんらかの支障を抱えながら過ごす期間が長いということ。

なぜ、このような差が生まれているのでしょうか。

その理由は、今、日本における健康増進対策が「病気になってから治療する」という疾病を基本とするアプローチで進められていること、そして、性別の違いに着目した健康対策がほとんど行われておらず、正しい知識の普及と適切な予防行動が習得できる体制が整っていないことがあげられます。

そこで、今、対馬ルリ子さんをはじめとする女医などの人々が発起人となり、日本で初めて、女性の一生涯にわたる健康を守る法律を作ろうという動きが起こっています。発起人のひとりである、公益財団法人ジョイセフの代表理事・石井澄江さんにお話を伺いました。

なぜ、女性に一生涯にわたる健康支援が必要な理由は、女性が生涯を通じ、女性ホルモンの影響を受けながら生活を送っているからです。

女性ホルモンは年代によって分泌量が異なり、それによって心身状態が大きく変化し、さまざまな疾病リスクへとつながっています。

しかし、そういった女性ならではの健康の問題は正しく理解されておらず、女性の特性に応じた総合的な健康支援が行われていないのが現状なのです(石井さん)

アメリカやオーストラリアなどの先進国では、1960年代後半から、性別に着目した「性差医療」という新たな健康科学の概念が構築されつつあるそうですが、日本は大きく遅れをとっているそう。

石井さんは、「妊娠、出産だけに関わらず、思春期から更年期、老年期とさまざまなステージで直面する心身の変化や、女性特有の傷病リスクを低減して、健康を増進する社会的基盤づくりが、今早急に求められている」といいます。


石井さんらが呼びかけている「女性の健康の包括的支援に関する法律」では、「女性総合診療」という新たな専門分野の確立やDV対策の充実、がん検診の受診率の向上、出産しやすい労働環境の整備、産前産後ケアの充実など、一生涯を通じた女性の健康支援の充実を目指しています。

この法案が通れば、女性が直面するさまざまな健康・心身の問題について、保健、医療、福祉、教育、労働、その他の関連分野が連携した状態で包括的な支援を受けることができるようになるのだそう。

今、アベノミクスの要として、女性の活躍推進のための支援が大きく取り上げられていますが、その根底にある女性の健康支援の実現なくして、本当の意味での女性活力の活性化は成り立たないといっても過言ではないのです。 

最後に、石井さんからメッセージをいただきました。

 この法案をひとりでも多くの女性に知ってほしいですね。法案は完璧なものではありませんが、まずは0から1に進めることが大事。決して他人ごとではありません。自分ごととして考え、ぜひあなたにも行動して欲しい。そして、今後も法案の行く末を注意深く見ていて欲しいですね(石井さん)

この法案に賛同するには、change.orgのキャンペーンページで署名するという方法が。あなたも女性の健康を守る法律に賛同の声を送りませんか?

[ジョイセフ女性の健康を守る法律に賛同の声を!]

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