耳が聞こえ、目が見える。ほとんどの人が当たり前だと思っている世界を、一度も経験できずに過ごす人も、この世界にはいます。
イギリスのジョアン・ミルンさんは、生まれながらにして耳が聞こえず、アッシャー症候群を患い、20代後半には視覚にも障害をきたしてしまいました。そんな彼女が、40歳で初めて音楽を聞いた瞬間を映した様子が、世界で感動を呼んでいます。
「音」を初めて耳にし、喜びの感動に満ちあふれ、せきを切ったかのように泣くミルンさんの姿には、涙を誘うものがあります。
こちらの映像は、彼女の友人・Tremayne Crossleyさんが撮影したもの。人工内耳の手術を受けた彼女が、40歳で初めてこの世界の音を聞く様子をとらえようと考えたといいます。
また、イギリスの「The Journal」によれば、彼女はこう語っているそうです。
音が聞こえた瞬間は、自分の人生のなかでいちばん感情の高まるもので、いまだにその衝撃を感じています。これからは、脳の中で音のライブラリーをつくっていくように、これらの音が何の音なのか、認識することを学ばなければならないのです。
「The Journal」より引用
初めて音を聞くということは、これが音楽というものか、これが料理をするときの、車が走る時の、バスが到着するときの......というように、長年にわたって培ってきた自分の世界を、新たに再発見することになるともいえます。
音のある世界へと飛び込んだミルンさん。「私はとても幸せです。私の後ろで誰かが楽しそうに笑っている声、鳥がさえずる声、友人が私の腕をトントンとたたいて何か知らせる必要がなくなったこと。」
ミルンさんの経験と、感動的な瞬間をとらえた友人によるビデオから、私たちに幸せを身じかに感じることの大切さを教えられているような気がします。
[The Journal,Jo's implants are turned on]
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