あらゆることのバランスについて考えるにはぴったりの日ですから忙しさに追われて流されるままになっているなあ、と感じたら今日は足や手を少しだけ止める時間もつことをおすすめします。
なぜなら、秋分は新しい気持ちに切り替えるのにもちょうどいいタイミングだから。太陽の動きに意識を向けて天体から生み出される力を感じましょう。
秋分と同様、昼と夜の長さが同じ、三月の春分は「いのちを慈しむ日」ですが、秋分は「亡くなった人や先祖を敬う日」。お彼岸の真ん中の日でもありますからおはぎやお団子をお供えして、目に見えないものに思いをはせます。
この日、真西に沈む太陽に向かってお祈りすると力がもらえるといわれていますが、これは、極楽浄土の場所が西にあるといわれているから。縁起のよい場所に向かってお祈りすれば願いをかなえる力も強まる、というわけです。
縁起を呼ぶトンボは勝ち虫目に見えないもの、亡くなった方々、高くなった雲など、とかく空に視線や気持ちが向かう秋ですが、美しく広がる空を眺めていると目に入ってくるのは「とんぼ」です。
意外と都会でも飛んでいますから、目をよくこらして探してみてください。夕焼けに染まったような赤とんぼが、すい、すいと空を飛んでいるかもしれません。
ちなみに、とんぼは古くから日本に住んでいる、とても縁起のいい虫。由来は、後退して飛ぶことができず、「前進」あるのみの生き物だから。そこで「勝ち虫」という別名がついて、武士などに人気でした。この勝ち虫、古来から愛されて着ている証拠に、あらゆるものの模様となり、私達にその魅力を伝えています。
たとえば、浴衣や手ぬぐい、根付け、扇子などなど。身近なところにあるとんぼ探し、してみませんか。
(広田千悦子)