環境に優しいハイブリッド車を初め、世界で愛される車を作っているトヨタ自動車。国内でも多くの環境・文化へ社会貢献を行っていますが、アメリカではちょっと面白い形で人々の日常を良くするのに貢献しています。その名も「KAIZEN」。多くの企業が社会貢献としてお金の寄付する中、トヨタは、NGOや地域の団体が効果を最大限に発揮できるように、トヨタ生産方式(Toyota Production System)に基づいた、「効率の改善」を寄付しています。
「KAIZEN」で、より多くの人々に食料を届ける
例えば、ニューヨークで、一日の食事を十分にできない人々に、食事を提供しているフードバンクという団体。スタッフが「食事をもらうために、外で列になって待つ人の数が多いので、その列を短くしてほしい」と要望したところ、トヨタのエンジニア達は、見事にそれを「改善」しました。
以前は10人ずつ入れていた人数を、一人ずつにし、待ち合いエリアを作ることでトレイをすぐに手にとれるようにしました。更に、来た人に空席を指示する係をつけることで、90分待ちの列を、18分待ちまで短縮しました。これにより、営業している時間内により多くの人が食事できることになり、スタッフもこの改善の効果に驚いたそうです。
その後フードバンクは、NYを襲ったハリケーンサンディーの被災者の食料支援をする団体、Metro World Childにトヨタのエンジニアを紹介し、コンベイヤーベルトを用意することで食料品を箱に詰める効率を上げ、箱のサイズも変更し、より多くの食料が被災者の手元に早く届くようになりました。
更に、ニューオーリンズに多大な被害をもたらしたハリケーンカトリーナの被災者の家を再建するSt. Bernard Projectでは、以前は1軒の再建につき3~5ヶ月かかっていたのを、2軒を2週間で修繕するという、画期的な効率改善を行いました。
自動車を作る会社から生まれた「KAIZEN」という技術が、意外な場所で感謝され、役立っている。ただお金を寄付するだけでない、真の意味での社会貢献の素晴らしい例だと思います。
photo by Thinkstock/Getty Images
(山縣美礼)