必ずしもエコなつくりとはいえないスマートフォンの価格競争が、世界中で繰り広げられています。そんななか、ヨーロッパで販売前から話題をよんでいる、徹底的にエコでフェアなスマートフォンがあります。
発売前から大人気のスマホ
それは「Faire Phone(フェア フォン)」という名前のフェアトレードの精神にのっとったスマートフォン。ヨーロッパでは、発売前からすでに1万件もの予約が殺到しているほど、その倫理観は素晴らしく画期的なんです!
フェアトレードやリサイクルを徹底して製造
携帯電話の部品の原料の一部は、アフリカ・コンゴの武装勢力が支配する鉱山から購入される場合が多く、それは結局、紛争で使われる武器を買う資金源となるのだそう。さらに、未成年者が鉱山で危険な労働を強要されたり、危険な状態で手で組み立てたりと、何年も前から問題視されてきていました。フランスでも、ある携帯電話会社の部品の流れを追求するドキュメンタリー番組が放送され、ヨーロッパ人にとっては特に敏感なトピックになっています。
そこで、このフェアフォンでは、原料にいたるすべての製造プロセスにおいて、極限まで透明性を追求できたもののみを使用しているのです。また、鉱山から工場に原料が運ばれる過程においても、労働者の安全な環境や公正な賃金を保証する、フェアトレードの精神にのっとっています。
また、携帯電話には寿命があり、世界中の人が使った携帯電話は電子廃棄物となって蓄積される一方。フェアフォンは、売り上げの3ユーロを、ガーナから電子廃棄物を撤廃する資金として使用し、今年の9月には、10万もの携帯電話やバッテリーをベルギーで安全にリサイクルすることになっています。また、フェアフォンを購入する人には、今まで使っていた携帯電話をリサイクルできるところを紹介するサービスもしています。
スマホ製造に関わった業者をすべて公開
フェアフォーンの価格は、325ユーロ(約4万2千円)ですが、その理由をクリアにするために、ひとつの携帯電話に関わった業者のリストがダウンロードできるという徹底ぶり! これだけの業者が関わっていたら、その値段も納得というわけです。そんなフェアフォンのブランドストーリーがわかる動画がこちら。
Fairphone: Buy a phone, start a movement from Fairphone on Vimeo.
良心的で合理的、今の時代の問題点に真っ向から立ち向かって勝負しているスマートフォンの登場に、利用者自身も誇りを持てそう。デザインも申し分なくシックで洗練されており、ヨーロッパ諸国を皮切りに、この秋2万台が販売される予定です。フェアフォン現象がもたらす今後に乞うご期待。
(下野真緒)