百聞は一見にしかず。どんなニュースや新聞記事よりも、1枚の写真が心に残る......誰しもそんな経験があるはず。それほど写真には大きな力があります。
「世界報道写真展」はドキュメンタリー、報道写真の展覧会。今年開催された「第56回 世界報道写真コンテスト」には、世界中のジャーナリストによる160点の作品が展示されます。
パレスチナ、シリア、陸前高田の写真も
その中から選ばれた大賞作品はスウェーデンのフォトジャーナリストが撮影した1枚。審査員から「大人たちの怒りや悲しみと子どもたちの純真無垢が醸すコントラストにより、写真が強さを備えている」と評されたこの作品は、イスラエル軍のミサイル攻撃の犠牲となり、葬儀に運ばれるパレスチナ人の子どもを撮影したもの。絵画的な光の中で葬儀場所へと運ぶ男性たちの表情には深い悲しみと怒りが凝縮され、忘れがたいイメージを見る者に植え付けます。
その他の入賞作も衝撃的で心に迫る写真ばかり。ナイロビのスラム近郊のゴミ捨て場の中で本を読む貧しい女性、シリア北西部で重傷を負い、涙を流す女性など、平和な日本では想像もつかないような世界の光景に言葉が出ません。
中にはオーストラリアの写真家が東日本大震災から1年後の陸前高田市を撮影した写真も。
野生動物、スポーツ写真も感動的!
これらのような社会的な写真だけでなく、「自然部門」では野生の生き物の姿が、「スポーツ部門」では躍動感あふれる決定的瞬間がイキイキと収められ、まるでCGのよう。「本当に写真なの?」と思わず疑ってしまいましたが、もちろんすべて本物。審査員がしっかりチェックしているそうです。
たった1枚の写真から、ニュースでは流れなかった知られざる事実、さまざまな出来事の新たな側面を知ることができる報道写真。報道写真家のレンズを通して、この広い世界で起きている現実を見つめるきっかけになりそうです。
「世界報道写真展」
期間:6月8日(土)~8月4日(日)
開館時間:10:00~18:00(木・金は20:00まで)
参加費:一般 700(560)円/学生 600(480)円/中高生・65歳以上 400(320)円
住所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内 東京写真美術館 B1展示室
最寄り駅:JR恵比寿駅東口より徒歩約7分(動く通路使用)
東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩約10分
TEL:03-5420-3080
営業時間:10:00~18:00(木・金は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
定休日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館)
大きな地図で見る
photo by Thinkstock/Getty Images
(松浦松子)