今の時期、果物屋さんの軒先を彩る淡いオレンジ色をしたフルーツ、ビワ(枇杷)。小さい頃に家の裏になっている実を、縁側で少しずつ皮をむいて食した記憶があります。ツヤっとした果肉の上品でジューシーな食感は、他の果物には無い魅力を感じます。
疲労回復にいい!? ビワのチカラ
ビワというと果肉を食べるイメージがありますが、実は、別名「大薬王樹」とも言われ、葉や種子に高い薬効がある優れた樹木なのです。江戸時代には「枇杷葉湯(びわようとう)」というビワの葉と肉桂などを煎じたものが、暑気払いとして庶民の間で飲まれていました。
今でも、乾燥させた葉で淹れる「ビワの葉茶」や、アルコールに長期漬けてつくる「ビワの種酒」などが、疲労回復や咳どめ、美白などによいと民間療法でも親しまれています。ただ、生の葉や種に含まれるアミグダリンという成分が体内にとりこまれると、青酸を発生させて死に至る場合もあるようなので、分量や作り方には十分注意を払うべきでしょう。
カラダの外から効果を実感できる! ビワの湿布
そんな茶や酒に加工をせずとも、簡単にビワの効力を実感できる方法があります。それはビワの葉を使った湿布。かつてお釈迦様がビワの葉を炙って患部にあてて治療したという逸話も残っているほどですから、効果が期待できます。本来はビワの葉の上からお灸を据えるとよいのですが、一人暮らしだったり、火を使うお灸は面倒という方におすすめしたいのが、こんにゃくを使った方法です。
自然療法の大家、東城百合子さんのベストセラー本『家庭でできる自然療法 誰でもできる食事と手当て法』には、「ビワ葉温こんにゃく湿布」が紹介されています。
腰痛の時におすすめ! ビワ葉温こんにゃく湿布
(1)こんにゃくを茹でて、芯まで熱くします
(2)タオル2~3枚で包んで、温度調整をします
(3)患部にビワの葉のつるつるした方を当てて、その上からこんにゃくを置きます
(4)30分位したら取り、冷たいタオルで拭き取ります
こんにゃくの熱でビワの葉の成分がじっくりと体内まで浸透していきます。腰痛やぎっくり腰の時には、とくに「効いた〜!」という実感がありますよ。
ビワは育ちが早い植物で、日本の多くの地域でぐんぐん成長します。家に常備するレスキューハーブのひとつとして、鉢植えで育ててみるとよさそうですね。
[『家庭でできる自然療法 誰でもできる食事と手当て法』]
著者:東城百合子
出版社:あなたと健康社
価格:1680円
[果物ナビ:びわ]
photo by Thinkstock/Getty Images
(さとう葉)