インテリア雑誌を眺めていると、必ず登場するのが「イームズ」のプロダクト。特に、1950年代のアメリカで生まれたミッドセンチュリーを感じさせる、イームズ・チェアのデザインは、他にはない存在感を放っています。

そんなイームズ好きにたまらないのが、個性的な夫婦の素顔に迫った映画ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ」。生前は明かされなかったイームズ夫妻の側面にフォーカスした初のドキュメンタリー映画です。

画家を目指すレイ・カイザーと、当時既婚者だった建築家チャールズ・イームズは恋に落ち、お互いの才能を認め「イームズ・オフィス」を立ち上げました。第二次世界大戦、アメリカの急速な近代化、冷戦という社会情勢下でも二人のアイディアはとどまることを知らず作品を生み出していきます。

ジェイソン・コーン監督は、この映画について次のように話しています。

「『建築家と画家』というタイトルには、俗識に対する皮肉を込めました。チャールズとレイの時代には、建築家ならビルを建て、画家ならカンバスに絵を描き、それ以外のことはしないのが当たり前とされていました。二人はそれに真っ向から挑んだのです。彼らにとって職業の肩書きとは、あくまで身につけたことの定義でしかなく、二人は建築家、画家として学んだことを、あらゆることに応用しました」

その通り、じつは120本を超える作品を残した映像クリエイターでもあったイームズ夫妻。この映画の公開を記念した「イームズ映像作品集THE FILMES OF CHARLES & RAY EAMES」では、代表作「パワーズ・オブ・テン」をはじめ、イームズ夫妻の遺した映像作品37本の限定上映を行っています(6月5日まで)。単なる広告映像でもなければ、ドキュメンタリー映画でもアート映画でもない、驚くほど美しい映像作品に触れることができます。

どんな人物がどんな思いでデザインしたのかを知ると、プロダクトから人間らしさを感じます。ますますイームズが好きになりました。

映画「ふたりのイームズ:建築家チャールズと画家レイ
2013年5月11日(土)~全国順次公開中

(松浦松子)

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