私がヨガに興味を持ったきっかけは、雑誌に掲載されていたヨガマットを片手に街を歩くスーパーモデルのスナップショットから。当時オフィスワーカーで、様々なストレスを抱えていた私は、「美容に良くて、心にも効く」というヨガの触れ込みに心ときめかせ、新品のヨガマット片手にヨガスタジオデビュー。以来10年近く、飽きもせずにヨガのある生活を楽しんでいます。
男性社会から生まれたヨガ
ここ数年では習ってみたいお稽古のトップ3に入るほどポピュラーになったヨガですが、その効果といえば美容や健康促進、スタイルアップなど女性にとって嬉しいことばかり。でも実のところ、ヨガ誕生の背景は美容というニーズからは程遠い男性社会、約4500年前のインド(インダス文明)が舞台でした。
瞑想による"ブレない自分作り"
当時のインドは、民族同士の戦いや、天災が幾度も起こり、生きやすい環境ではなかったといいます。そこで、自分を取り巻く環境を変えることができないなら、自分が変われば良い!という発想転換のもと、瞑想によって"ブレない自分作り"をしたのがヨガのはじまりと言われています。
ヨガという言葉の語源は、サンスクリット語で「軛(くびき)を掛ける」ことで、軛とは荷台を引く牛馬の首の後ろに掛ける横木を指します。それは、暴れまわる牛馬を人の心に喩えて、心を一点に繋ぎとめる精神統一を説くもの。強靭な精神を作り、人生をサバイブするための処世術として活用されました。それから長い月日をかけて様々な行法が開発され、無数のヨガのスタイルが誕生し、いまに至ります。
舞台は変わっても、現代社会で快適に暮らすには、ヨガによる処世術がキーポイント。特に30代の大人女性は、心身共にゆれやすく悩み多き年代。物質的には恵まれているのになんだか満たされない......なんて、思い当たる節はありませんか?
ヨガは心とカラダのセルフメンテナンス
現代社会にマッチしたヨガを喩えていうなら『耐震性のある家作り』。家は軒下で安定した土台が支えるからこそ、斬新なデザインや美しいインテリアが映えるもの。それに、快適な家ならそこに住まう人も、遊びに来る人も気持ちが良いですよね。ヨガはこのブレない土台を作る基礎工事。
ちょっと抽象的ですが、自分自身や他人とのかかわり合いを快適にしながら、人生を味わい深くしてくれるもの。約4500年もの長い間、悩める人を癒しながら脈々と受け継がれてきたヨガは、まさに実践する哲学であり、オーダーメイドのセルフメンテナンスといえます。
ヨガのプラクティスで、少しずつリフォームされる自分を実感するのはとても楽しいはず。これからの連載を通じて、ヨガ的な心と体の使い方や、ヨガの教え(経典)を用いつつ、日常生活にいかす秘訣をお伝えしていきます。
(村上華子)
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