寒い日が続き、冷えからくる不調に悩まされている……という方も少なくないと思います。こんなときにうれしい食事と言えば、体を温めてくれるスープです。
昨年12月に開催された日本スープ協会のセミナーでは、「毎日のスープ食で、ココロも身体もホッとする。コロナ時代のストレスケア」をテーマに、スープを活用したストレス対策の方法が紹介されました。ストレスの専門家である古賀良彦先生(杏林大学名誉教授)によると、体温が下がりやすい朝にスープを飲むことで、脳の機能が整い、ストレスが軽減されるといううれしい働きが期待できるそう。スープ作家の有賀薫さんのレシピとともに、驚きの「朝スープ」のメリットをお届けします。
副交感神経を活性化。脳の働きも整う「朝スープ」の力
ストレスの精神生理学的研究を専門とし、うつ病、睡眠障害、統合失調症などの治療のエキスパートとして知られる古賀先生。先生によると、食事を食べること、作ること、食事とともにおしゃべりを楽しむことは、ストレス対処法として非常に有効なのだそう。なかでも「朝に飲むスープ」には、大きな可能性があるようです。
古賀先生いわく、人間の1日の体温のリズムのうち、もっとも体温が低くなるのが「朝4時から8時の時間帯」。ストレス対策では「下がってきた体温を上げる」ことが重要であり、もっとも安全にそれができるのは「食事」であると話します。
「そこで私が提案したいのが、体温が低くなりやすい朝にスープを飲むという方法です。
ある調査で10代後半~20代の女性20名に温かいスープ(市販の粉末コーンポタージュスープ)を飲んでもらったところ、足先の温度が最大で2℃上昇。耳の中の体温(深部体温)も、温かいスープを飲んでから10分もしないうちに、0.2℃近く上がっていることがわかりました(※)」(古賀先生)
*出典 高木ら : 栄養学雑誌 71, 49 58 (2013)
温かいスープを飲むと代謝が上がり、すぐに体温も上昇します。すると消化器官の活動が活発になり、副交感神経が優位になると古賀先生。心身がリラックスモードになり、ストレスが緩和されるといいます。
しかも温かいスープには、「脳の活動を円滑にする」という働きもあるのです。古賀先生によると、温かいスープを飲んだときと冷たい水を飲んだときでは、脳のα波の出方に大きな違いが出たとのこと。温かいスープでは、特に後頭部を中心に、α波が多く見られたのです。
「後頭部のα波が多いことは、ストレスが少なく、しっかりと目が覚め、かつ仕事や学業へのスタンバイが整ったことを意味します。体の働きが無理なく活性化されるとともに、脳の機能まで整えられる。朝のスープはストレスを軽減するとともに、仕事や学業を前向きに行えるようにする作用があることが示唆されました」(古賀先生)
有賀薫さんが教える、市販スープのおいしいアレンジ3選
スープを食事に取り入れれば、毎日のストレスケアが手軽にでき、頭までクリアになるというのは嬉しいニュース。セミナーの後半では、スープ作家として活動する有賀薫さんが、市販のスープ製品を使った簡単アレンジレシピを3つレクチャーしてくれました。
ごまとナッツ入りのかぼちゃポタージュ
カップタイプのかぼちゃスープをベースとして、ストレス対策に有効とされる黒ごまとナッツをトッピング。「疲れてストレスを抱えたときや、時間がない朝でも、無理なく作ってほっとできるスープです」(有賀さん)
ストレスに有効な食材:
・黒ゴマ(セサミン:抗酸化作用)
・ナッツ(ビタミンE:抗酸化作用)
<材料(1人分)>
味の素「クノール® スープDELI® 完熟栗かぼちゃの濃厚ポタージュ パン入り」 黒ごま 小さじ2 好みのナッツ 少々<作り方>
1.スープをパックの表示通りに作る。(熱湯を入れてすぐに15秒かき混ぜたあと、1分待つ)
2.黒ゴマをすりつぶす(もしくは刻む)、ナッツを砕く。
3.2をスープにトッピングする。
鮭とブロッコリーのビスク風スープ
牛乳を入れて煮込むだけで、海老のうまみが凝縮したビスク風スープができるレトルトパック「シチュープ」を活用したレシピ。生鮭は切る前に軽く塩をして5分くらい置き、浮いてきた水気をキッチンペーパーで拭くと、魚のくさみがとれておいしくなると有賀さん。
ストレスに有効な食材:
・鮭(アスタキサンチン:抗ストレス作用)
・ブロッコリー(ビタミンC:抗酸化作用)
<材料(2人分)>
ハウス食品「StewP(シチュープ) ビスク風おかずスープの素」1袋 生鮭 2切(200g) ブロッコリー 1/2個 150g 牛乳 100ml<作り方>
1.生鮭とブロッコリーは食べやすい大きさに切る。
2.湯を350mlわかす。鍋にブロッコリーと鮭を入れ、沸騰したら6~7分煮込む。
3.StewPと牛乳を加え、5分ほどさらに煮込む。好みで粉チーズなどふってもよい。
にんじんと鶏肉、みかんのスープ
にんじんの甘みは柑橘類と相性抜群。鶏肉を加える前ににんじんを丁寧に炒めることで、にんじんから余分な水分が出て、少しクセのある香りも気にならなくなります。家にみかんがなければ、お酢やレモン汁などの酸味を仕上げに加えると、味がまとまるそうです。
ストレスに有効な食材:
・にんじん(カロテン:抗酸化作用)
みかん(ビタミンC:抗酸化作用)
<材料(2人分)>
ネスレ日本「マギー コンソメ 無添加」スティック1本 にんじん 小1本(150g) 鶏むね肉 50g ※好みで増やしてもOK みかん 小1個 オリーブオイル 小さじ2 塩、胡椒少々<作り方>
1.にんじんはピーラーで皮をむき、そのままピーラーで薄切りにする。
みかんは皮をぐるりとむいてから房をとる。鶏肉は薄くそぎ切りにする。
2.オリーブオイルでにんじんを焦がさないよう炒める。焦げ付きやすいので水を少し加えてよい。
3.水500mLとマギーコンソメ無添加を加えて、にんじんがやわらかくなるまで煮る。
4.鶏肉を1枚ずつ加えて、サッと煮る(煮すぎない)。塩と胡椒で味をととのえ、みかんを加えて火をとめる。
朝からコトコト煮込んだスープを作るのは大変でも、市販のスープやコンソメを使えば手軽においしくできると有賀さん。こんなスープレシピなら、「朝スープでストレス対策」も無理なく取り入れられそうです。
[日本スープ協会]
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