大学で心理学・精神医学を学び渡米した経験持ち、多くの人にダイエット指導をする傍ら、テレビや海外でも活躍する松尾さん。
そんな彼女が提唱するのが、自らのダイエットで実証した「食事瞑想」です。実践していくと、同じものを食べているのによりおいしく感じられ、十分に満足していくことで、気づかない間に「食べても太らない体」に変わるそう。
松尾さんの著書『「食欲ブレーキ」ダイエット』(三笠書房)から、すぐに日常に取り入れられる食欲のコントロール方法を紹介します。
「食欲ブレーキ」ダイエット: 「食べ比べる」「温かいものを」「よく味わう」……でいい! (王様文庫)
748円
1. 我慢ばかりでは食欲はコントロールできない
家事の合間についお菓子をつまんでしまう、仕事終わりの1杯がやめられないなど、わかっていても止められない食欲。そもそもなぜ私たちは、食欲をコントロールできないのでしょうか?
食欲に関する悩みに対する解決法は、「おおよそが気を紛らわせたり、一時的ながんばりを強いるものであって、実際に食欲を鎮めるための手段ではない」と松尾さん。
聞きかじったやり方を試してみても、結局頭には食べ物が浮かんで離れず、暴れん坊の食欲を落ち着かせることはできないそう。
そこでまず知るべきは、人それぞれにある「食欲のクセ」。これを知ることが鎮めるための第一歩なのです。その中の1つが食べ物についてのマイルール。
参考にする程度なら問題ないものも、強迫観念に変化してしまうと、ルールで自分を追い込むことになるのです。
「~しなければならない」
「~してはいけない」
「~するべきだ」
このような思考に陥り、常にその情報に振り回されてしまうのです。これを私は「心の圧」と呼んでいます。「心の圧」とは、自分の中に出来上がった偏見や思考のクセ、自分独自のフィルターです。
『「食欲ブレーキ」ダイエット』93、94ページより引用
たとえば、「甘いものは太るから”食べてはいけない”」という心の圧で食欲を抑えつけてしまうと、反動でくるのは暴食! そんなことにならないためにも、「心の圧、イコール、思い込み」から解放する必要があると松尾さんは言います。
また、いちばん多いパターンが、食欲がストレス解消を担っている場合。心の圧を取り除いても根本のストレスが残っていると食欲は鎮まらないのです。
人間関係や役割による精神的なもの、スマホの使いすぎや運動不足といった身体的なもの、気温や気圧などの環境要因のように、現代のストレスはさまざま。
私たちは食べることで乱れた心を必死に修正しようとするのだそう。食欲は心の圧やストレスが表面化したものであり、奥にある問題に目を向けないと暴走は止まらないということなのですね。
2. 食事瞑想で食欲にブレーキをかける
これまで1000人以上にダイエットの指導をしてきた松尾さんいわく、「まず大切なのは、終わらない食欲とのたたかいにけりをつけること」。
そこで、”食欲を鎮めるため”の効果的な方法としてあげられているのが、味覚による満足感と胃の満足感を得られる「食事瞑想」です。
食事瞑想では「味覚」という五感のひとつにフォーカスして、あなたの外に向いている意識を自分のほうに向け「今、自分が何を感じているのか」を観ていきます。それが食事で満足感につながり、ブレーキのきかない食欲も自然とおさまる、というわけです。
『「食欲ブレーキ」ダイエット』30ページより引用
たったふたつのステップを実践することで、誰でも「食べても食べても満たされない状態」から脱出できるというのだから、取り入れない手はありません!
その具体的なひとつ目のステップは、舌先を研ぎ澄まして味覚の満足感をつくること。舌の前と中央部分は舌神経、味覚に特化した鼓索神経につながっており、味をよく感じるためには舌先を使うのが一番効果的なのだとか。
そこで舌先を意識しながら、できるだけ食べ物を舌先にあてるようにして食べることを実践してみましょう。そして、どんな味を感じているのか自分に問いかけます。
このとき、「おいしい」は禁止! 甘い、辛い、粉っぽい、しっとりしているなど、「自分が何を感じているかに集中する」ことが大切なのだそう。
このほか紹介されているのも、目をつぶって食べる、うっかり飲みをやめるなど、さっそく次の食事から実践できるものばかり。このように食事瞑想は毎食簡単にでき、続けやすいのも魅力のひとつですね。
3. 満腹感のカギを握るのは胃
食欲を鎮めるために必要な2つ目のステップは、「胃の満足感を育む」こと。
「満腹感」という似た言葉もありますが、「満足感」とは似て非なるものだと松尾さんは言います。
「満腹感」は胃が物理的に食べ物でいっぱいになった状態を指す一方で、「満足感」は食べた量にかかわらず、もう十分と思える心の状態を指します。
食欲コントロールに必要なのは「満足感」。もう十分だなと思える感覚なのだそう。
働き始めるまでに20分かかる満腹中枢に頼らず、この「満足感」をつくることが食欲コントロールの肝に! これは胃の感覚を研ぎ澄ませることでかなうのだとか。
そこで始めるべきは、朝起きたときに白湯や常温の水をコップ1杯飲むこと。「飲むと、水がのどを伝って食道を通り、胃に落ちていく感覚があるかと思います。その動きを感じてください」と松尾さん。
ものを食べていない状態の朝に飲むことで、水が止まった「胃の底」を感じ取りやすくなるそう。最初はわからなくても、毎日の繰り返しで感覚はどんどんクリアになっていくと言います。
そのほか、食事はできるだけ温めて食べたり、パンとごはんをじっくり食べ比べて胃の重さを比較したりすると、胃の感覚が研ぎ澄まされていくそう。
「変えるのは『食べるもの』ではなく『食べ方』。そして、あなたの食事への『向き合い方』です。お店を選んだり、食べる量を調整する必要はないのです」と松尾さん。
本書にはほかにも、上手に食欲をコントロールするための方法が満載です。参考にして、いつものごはんでキレイにやせることを目指しましょう。
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