肉や魚、野菜など、食材は調理法や食べる温度によって、摂れる栄養が大きく変わることをご存知でしょうか。

そこで一読したいのが、最新の研究やデータをもとに、ムダなく栄養を摂るコツを教えてくれる『その調理、9割の栄養捨ててます!』(東京慈恵会医科大学付属病院 栄養部監修、世界文化社)。

こちらから、栄養をロスしない食べ方のテクニックをご紹介します。

骨つき鶏肉は「+酢」でカルシウムがアップ

肉の中でも脂肪が少なく、消化吸収のいい上質なタンパク質が摂れる鶏肉。美肌を助けるコラーゲンをはじめ、ビタミンAやカルシウムなどのさまざまな栄養素が摂取できる優秀食材です。

いろいろある部位の中でも、骨つき肉は美容の味方。手羽やモモ肉と比較するとカルシウム量が4倍で、コラーゲンや旨みの面でもお得です。

調理するときにおすすめなのは、お酢と一緒に煮ること。お酢の力でカルシウムが煮汁に溶け出し、水煮に比べて1.8倍以上にもなります。

そのうえ、水煮だと30%しか体内に取り込めないカルシウムの吸収率も、お酢だと約2倍にアップ。さらにコラーゲンも通常の1.4倍になります。

ブロッコリーの抗酸化作用は「放置」で活性

ブロッコリーなど、アブラナ科の野菜がガン予防に効果ありといわれるのは、抗酸化作用のあるスルフォラファンを含むから。しかし活性するのに必要なミロシナーゼという酵素は加熱にとても弱く、調理すると死んでしまいます。

かといって生で食べても、今度は体内でミロシナーゼが消化されてしまいます。そこでポイントとなるのが、ブロッコリーを切ってから4~5分放置すること。

切ることでミロシナーゼがスルフォラファンを生み出してくれるので、そのあとはふつうに調理してOKです。

加熱調理したいときは、75℃以下のお湯で茹でるか、低温で最大5分間まで蒸しましょう。蒸し器でフタを開けながら蒸す「低温蒸し」がおすすめです。

ショウガは生と加熱で効果が段違い

ショウガといえば、体ぽかぽか効果の高い冷え性の強い味方。でも、生のショウガでは、実は体あたため効果はほとんど期待できません。 生のショウガに含まれるジンゲロールには、殺菌作用のほかにも血流をよくする効果があります。

しかし、一時的によくなった血行のために汗が出て、逆に体を冷やしてしまうこともあるので注意が必要です。 一方、ジンゲロールを加熱または乾燥させると、体の熱をつくる「ショウガオール」に変化します。

体内の糖質や脂肪を燃焼させて内から熱をつくるので、体をあたためるうえにダイエットにも効果的。低温でじっくり熱を入れることで、最大30倍ものショウガオールをゲットできます。皮はむかずに輪切りにし、100℃以下のオーブンでカラカラになるまでローストしてください。

青魚のDHAは、加熱すると50%もダウン

DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、魚だけに含まれる不飽和脂肪酸。血管を強くしたり、ガンやアレルギーを予防したり、健康な脳の働きを維持したりと、体をとことん助けてくれる成分です。

これらの不飽和脂肪酸を残さず摂るなら、なんといっても刺身がベスト。焼き魚だと2割、揚げ調理だと5割、つまり半分近くが減ってしまいます。 これは加熱によって成分がなくなったのではなく、魚自身の脂と一緒に流れ出るから。煮魚にするときは薄味にして煮汁ごと摂ると、ロスを減らせます。

納豆にあつあつご飯はもったいない!

大豆の栄養を発酵の力でさらに強めた納豆は、日常的に取り入れたい食材。でも、炊き立てのあつあつご飯と合わせると、納豆の大事な成分であるナットウキナーゼが死滅してしまいます。

ナットウキナーゼは酵素のため、50℃以上で活性が鈍くなり、70℃以上でほぼ働きを失ってしまうのです。人がおいしいと感じるのは40~48℃のほんのりあたたかいご飯なので、適温にして食べるのが正解です。

さらに、納豆は食べる直前ではなく、20分ほど前に冷蔵庫から取り出しておきましょう。納豆菌は殺菌されていないため、常温で発酵が進みます。

同時にナットウキナーゼも活性化してくれて、血液サラサラ効果がアップします。

>>特集「食事バランスのキホン」の他の記事を読む

その調理、9割の栄養捨ててます!

1,512円

購入する

──この記事は、2019年9月26日の記事を再編集して掲載しています。

納豆のおいしい食べ方

毎日の食事で役立つ! 管理栄養士が教える8つの納豆トリビア

納豆の「ちょい足し」アレンジ14つ。簡単にできて栄養効果もアップ

文/田邉愛理 、image via shutterstock

RSS情報:https://www.mylohas.net/2020/04/210941nutrition_cooking03.html