ダイエットの話は巷にあふれていて、スリムになるためのヒントは事欠くことがありません。
問題は、長期的にうまくいかないこと。米国疾病対策センター(CDC)の研究によると、米国人のほぼ半数が前年に減量を試み、多くの人が成功しているそう。しかし、体重を維持していくことはとてつもなく困難。
2018年の『Medical Clinics of North America』誌の論文によると、29本の長期間研究を分析したところ、減量に成功した半分以上が2年でリバウンドし、5年で80%がリバウンドしてしまったといいます。
Preventionでは、全米トップ10人の減量や肥満を専門とする臨床医に意見をお聞きしました。最新の科学に取り組み、やせすぎではなく、健康的な減量を目指している方々です。専門家が知ってほしいと考える減量のポイントをお教えします。
1. なぜ減量するのか知ること
「ダイエットの動機がよい場合は、体重が減ってからも長続きする傾向があります。たとえば、娘の結婚式までにどうにかしたい人は成功する可能性は非常に高いものの、結婚式が終われば、リバウンドする可能性も大いにあります。ひざの痛みを軽くしたい、糖尿病をうまくコントロールしたい、この理由のときには減量後も体重の維持につながってきます」と、イーサン・ラザロ医師は言います。
ラザロ医師(米国肥満医学会フェロー)は、クリニカルニュートリションセンター(コロラド州グリーンウッド・ビレッジ)肥満医学専門医で、米国肥満医学協会の次期会長。
2. 自分を数字でとらえない
「人は、いつも『私の適正体重はどの程度ですか』と医師に聞きます。まるでロボットのように自分を制御できるかのよう! 自分次第としか言えません。
健康の改善や痛みの軽減、糖尿病や他の病気の予防が目的ならば、理想的な体重表の体重でなくても、5%~10%程度のごくわずかな体重減少で十分という強いエビデンスがあるのです。世間では大幅な減量が必要と考えられますが、少し考え方を変え、数kg減量するだけで、思った以上に気分よくなれるのです」と、米国国立体重健康センター所長のスコット・カーン医師(公衆衛生学修士)。
カーン医師は、ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生学部、ジョージ・ワシントン大学医学部と公衆衛生・保健学部の教員も務めています。
3. 続けられる食事の取り決めを
「ルーチンとして3〜4時間ごとに野菜やタンパク質を口にすること。80%は続けられる食事の取り決めを選択しましょう」と、アンジェラ・フィッチ医師(米国内科学会フェロー、米国肥満医学会フェロー)。
フィッチ医師は、マサチューセッツ総合病院ウエートセンター副所長で、ハーバード大学医学部助教で、米国肥満医学会副会長です。
4. 減量プランはひとつではありません
「自分を知ること。減量プランに関して、ひとつのやり方が誰にでも合うわけではありません。ライフスタイルの中で、減量の妨げになっているのは何か、簡単な問いから知ることもできます。いつ食事しているのか、どれくらい運動しているか、食事に何を求めているか、自分の体型に対して思い描くイメージはどうか。何に焦点を当てればよいかを知れば、減量へのアプローチ法も決めやすいのです」と、ロバート・クシュナー医師は説明します。
クシュナー医師は、シカゴのノースウエスタン医学センターのライフスタイル医学センター医学ディレクターで、同大学ファインバーグ医学部・医学教授も務めています。新しい著書に『Six Factors to Fit: Weight Loss that Works for You!』も。
5. 運動が大切
「ダイエットがうまくいくかどうかは、どれくらい身体活動に取り組んでいるか次第。長期的にわたって減量成功している人は、多くの身体活動をしているのです。おおむね中程度の運動を約1時間、週に6日間程度」と、ペニントン生物医学研究センター(ロサンゼルス・バトンルージュ)名誉教授のドナ・H・ライアン医師は指摘しています。
ドナ医師は、34年間にわたってセンター副専務理事として、研究、教育、管理の業務に当たってきました。
次回の『Prevention』に続きます。
無理なくできるダイエットを
Stephanie Dolgoff/What 10 Obesity Experts Wish You Knew About Weight Loss/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)