腸を元気にするためにとても重要なのが「腸内フローラ」です。腸内フローラとはどんな役割をしているのか、基礎を学んでいきましょう。
1. そもそも腸内フローラとは?
私たちの腸の中には、約1000種類、100兆個もの細菌が生息しています。これらを腸内細菌といい、その重さは1.5〜2キロほどもあるといわれています。「細菌」と聞くと身体に悪いイメージがありますが、これらの細菌は私たちの健康になくてはならないものが多くあります。
腸内細菌は、種類ごとにグループを形成してまとまり、腸の壁面に棲んでいます。これらを顕微鏡でのぞくと、お花畑(flora)のように見えることから、腸内フローラと呼ばれています。
腸内フローラの様子は、人それぞれで違います。人種や年齢でも違いますし、普段の食事や生活習慣によっても変わってきます。
2. 腸内細菌って? それぞれの役割は?
腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌と、大きくわけて3つに分類されます。
善玉菌
私たちのカラダにいいはたらきをしてくれるもので、乳酸菌やビフィズス菌などの種類があります。免疫力を高めて感染症にかからないようにしたり、食べたものの消化吸収を助ける、ビタミンを合成する、腸管運動を促進するなどの作用があります。
善玉菌のなかでも、その数がもっとも多いのがビフィズス菌です。その数は、うんち1gあたり100億個以上といわれています。
悪玉菌
その名の通り、カラダの中で有害な物質を作る菌です。代表的なものに、大腸菌やウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌などがあります。
これらの菌は、腸の中を悪玉菌が増殖しやすいようにアルカリ性に傾けていき、腸内を腐敗させたり、発がん物質や毒素といった有害な物質を作り出していきます。
日和見菌
善玉菌と悪玉菌のどちらか優勢なほうに味方をする菌で、腸内フローラの7割を占めます。腸内が酸性に保たれていて善玉菌の味方をしているときは問題ありませんが、免疫力が下がったり、アルカリ性に傾きはじめると、悪玉菌と一緒になって腸内で悪いはたらきをすることがわかっています。
ですが、日和見菌の詳しい機能や種類はまだまだわかっていないことがたくさんあります。
3. どういう腸内環境がベストなのか?
「お花畑」という名の通り、バランスが整った腸内フローラは、色とりどりの美しい花が一面に咲き誇り、甘い蜜やいい香りが漂っているようなイメージです。
その一方で、腸内フローラのバランスが崩れると、咲き誇っていた花が枯れてしまい、見るも無残な状態になってしまいます。
バランスがいい腸内フローラは、善玉菌、悪玉菌、日和見菌が2:1:7の割合で腸内に存在する状態。悪玉菌が優勢になり、このバランスが崩れると、カラダにはさまざまな悪影響が及びます。
4. 腸のバランスが悪いと、健康状態はどうなるのか
ではあなたの腸内フローラのバランスが崩れていないかどうか、下記のチェックリストを試してください。
便秘が続いている 下痢をすることが多い 肌荒れがひどい 最近、集中力がなくなってきた 気分が落ち込むことが多い 太りやすくなった カラダがむくみやすい 疲れが取れづらい 夜はなかなか寝付けず、朝起きてもスッキリしない 風邪をひきやすい悪玉菌が優勢になり、腸内フローラのバランスが崩れると、悪玉菌が作り出す有害物質が増えます。有害物質は、便秘や下痢といったお腹の調子を悪くするだけでなく、肌荒れや肩こり、老化、太りやすさなどにも関係するといわれています。
これ以外にも、うつ病や糖尿病や過敏性腸症候群、脂肪肝、大腸がんなどの病気を引き起こす原因になるともいわれています。
特に私たちは、便秘がちという人も多いのではないでしょうか。長年便秘に悩んでいると出ないことに慣れてしまい「一日くらい出なくても大丈夫」「週末に下剤で出せばいいか」と気楽に考えている人は要注意です。
2016年の厚労省の調査によると、日本人女性のがんの部位別死亡率の1位は大腸がんです。罹患者数も乳がんの次に多くなっています。
今は大丈夫でも、将来をいきいきと健康に暮らすのであれば、腸内フローラを整える生活習慣を身につけることはとても大事なことなのです。
──この記事は、2018年7月18日の記事を再編集して掲載しています。
腸内環境を整えるおいしい食べ物
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参照元:『便活ダイエット~便秘外来の医師が教える、排便力がアップする11のルール』小林弘幸(ワニブックス)、『人生を変える賢い腸のつくり方−ココロまで整える腸内フローラ活性術』内藤裕二(ダイヤモンド社)
文/大場真代、イラスト/古荘風穂
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